ランドセルが重過ぎる…低学年で10キロの日も タブレット「原則持ち帰り」も影響? 長崎

長崎市内のある低学年児童の荷物

 子どものランドセルが重過ぎる-。長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」に、長崎市内の小学生の保護者から投稿が寄せられた。教科書の大判化、増ページに加え、タブレット端末の配備で荷物が10キロ近い日もある。子どもの荷物を取り巻く現状を取材した。

 投稿した40代女性には、5年生の長女と2年生の長男がいる。本年度、学校からタブレット端末を毎日持ち帰ることになり、不満をもらしているという。
 女性がランドセルの重さを量ると、長女は5~8キロ、長男は6~10キロあった。これに水筒、月曜や金曜は上履きや体操服、雨の日には傘も加わる。「長男はランドセルを机の上に載せてからでないと背負えない。金曜日はクタクタになって帰り、肩の痛みを訴える日もある」と心配する。
 小学生の荷物は重くなっているのか。一般社団法人教科書協会(東京)によると、教科書のサイズは、2005年度は9割以上がB5判だったが、20年度には横幅が3センチほど広いAB判とさらに大きいA4判が6割以上になった。ページ数の平均も4857ページから8520ページと1.7倍に。「わかりやすさを追求し、記述やレイアウトが工夫されたため」としている。
 さらに国の「GIGAスクール構想」で県内全市町で1人1台のタブレット端末が配備。長崎市の場合、端末の重量は約1.4キロあり、市教委は持ち帰りの判断を学校に委ねている。
 市内の複数の小学校に取材すると、家庭で使わない教材を教室に置いて帰る「置き勉」は認める一方、端末は「原則持ち帰り」とする学校が多い。宿題や連絡に活用するためで、代わりに紙の教科書の持ち帰りを減らす工夫をしている。
 投稿者は「低学年は教科書を使う宿題が多く、端末の活用が少ない。端末を学校に置いて、自宅のパソコンからもアクセスできるようにしてほしい」と求める。市が導入している人工知能(AI)型デジタルドリルは、自宅のパソコンからでもアクセスできるが、市教委の担当者はセキュリティー対策などの面から「基本的には配備した端末を推奨している」とする。
 6月25日の定例県議会本会議では大倉聡議員がこの問題を取り上げ▽県・市で統一した持ち帰りの日を決める▽重さの基準を定めて超えないようにする▽端末は軽さと強度のバランスを考慮する-などと提言した。県教委の前川謙介教育長は「端末の持ち帰りには十分な配慮が必要。各学校が子どもたちや保護者と検討していくのが望ましい」と述べた。

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