チーム最年少の19歳DF高井幸大。“サッカーを楽しむ”を忘れずに大舞台で真価発揮へ【パリ五輪の選ばれし18人】

パリ五輪に挑む大岩ジャパンのメンバーがついに発表された。ここでは56年ぶりのメダル獲得を目ざすU-23日本代表の選ばれし18人を紹介。今回はDF高井幸大(川崎フロンターレ)だ。

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パリ五輪メンバーの中で最年少の19歳。ただ年齢は関係ない。これまで積み上げてきたものをピッチで示すだけだ。

U-12から川崎の下部組織で育った高井は2022年、U-18時代に宮代大聖(現・神戸)に次ぐ、クラブ史上2人目となる高校生でのトップ昇格を果たした。同年4月のACLでプロデビューを果たすと、2023年シーズンから徐々に出場機会を増やし、J1で14試合に出場した。

その活躍が認められ、世代別代表ではU-20ワールドカップに出場。さらにU-23アジア杯予選に臨むパリ五輪世代のU-22日本代表に飛び級で招集されるなど、着実に存在感が増していった。

CBを主戦場とする高井の武器は、192センチの長身を活かした競り合いの強さに加え、出足の速いカバーリング能力。フィジカルの強さも持ち合わせており、相手に背後を取られそうになっても、身体を入れてボールを刈り取れる。

攻撃時の魅力も。足もとの技術があり、ビルドアップの際には鋭い縦パスや、前にスペースがあれば自ら積極的に持ち上がり起点に。正確なロングフィードで局面を打開することもできる。

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日本サッカーの未来を担う大器が、そんな持ち味を存分に発揮し、世間に“高井幸大”の名を知らしめたのが、今年4月のパリ五輪最終予選を兼ねたU-23アジア杯だ。

グループステージ初戦の中国戦(1-0)でいきなり先発出場を果たし、安定したパフォーマンスを披露。指揮官の信頼を掴むと、その後もCBで主力として堂々とプレーし、アジア制覇とパリ五輪出場権獲得に大きく貢献した。

大舞台であればあるほど、真価を発揮する。その理由を高井はこう自己分析していた。

「楽しむことですかね。サッカーは楽しむことが一番だと思いますし、それが良い方向に向かっているんじゃないかなと思います」

純粋に“サッカーを楽しむ”。もちろん、人間だから時には緊張をすることもある。しかし、まずはその気持ちを忘れず、リラックスして臨むことで、ここぞという時に自分の力を最大限発揮できる。

年上に囲まれるU-23日本代表の活動でも物おじしない精神力でチームを支える。この下からの突き上げが周囲の選手の刺激になり、良い競争力も生む。

56年ぶりのメダル獲得へ。高井がどんなプレーを見せてくれるか、注目だ。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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