インド発のTwitter代替SNS「Koo」がサービス停止へ。慢性的な資金不足を解消できず

Image:Koo(App Store)

7月3日、数百万のユーザーを抱えるインド発のマイクロブログプラットフォーム「Koo」が、サービスを即日停止すると発表した。すでに同サービスのウェブサイトにはアクセスできなくなっている。

「私たちは、複数の大きなインターネット企業、コングロマリット、メディア企業との提携を模索しましたが、これらの協議は私たちが望む結果をもたらさなかった」と彼らはLinkedInに書いている。

Kooの共同創業者であるAprameya Radhakrishna(アプラメヤ・ラダクリシュナ)氏とMayank Bidawatka(マヤンク・ビドワトカ)氏は、このSNSのモバイルアプリが2021年末までに2000万ダウンロードを達成し、2022年には「あと数か月あれば」X(旧Twitter)を打ち負かせるところまで来ていたにもかかわらず、慢性的な資金不足によって事業を縮小せざるを得なかったと述べていた。

両者はLinkedInへの投稿で、複数の巨大IT企業やコングロマリット、メディア企業との提携も模索したものの、交渉がまとまることはなかったと述べている。そして今年2月にうわさが持ち上がった、インドのニュースアグリゲーター企業Dailyhuntとの買収交渉も失敗に終わった。

Kooは2020年にサービスを開始し、インドで使われている10種類以上の言語に対応するメッセージング機能を提供していた。Kooにとって追い風となったのは、2021年にナレンドラ・モディ首相がX(Twitter)ら米国のSNS企業に対して、フェイクニュース拡散アカウントのブロックを求めたことだった。

モディ首相が言うフェイクニュース拡散アカウントには、ジャーナリストや報道機関、野党政治家なども含まれており、Xは当初こそ要求に応じていたが、後になって「正当な理由が見当たらない」としてブロックしたアカウントを開放した。これに対し、インド政府はXの従業員に法的措置をとるなどとのべて対立することになった。そして、その間に与党閣僚、関係者、与党支持者らがKooへと活動の場を移したとのことだ。

その後もユーザー数は増加したが、Kooは次第に深刻な赤字と資金不足にあえぎ始め、昨年4月には従業員30%を解雇した。それでも資金提供者は現れず、今回のサービス停止の発表に至った。

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