幻想的なサンゴの産卵始まる 和歌山県串本町の海

産卵するサンゴ(和歌山県串本町で)=串本海中公園センター水族館提供

 串本海中公園センター(和歌山県串本町有田)近くの海でサンゴの産卵が始まっている。同センター水族館の飼育員が3日夜に確認した。飼育員によると、おそらく今年初の産卵という。

 同水族館では毎年6月下旬からサンゴの産卵調査をしている。この日は水深約10メートルの海中で調査したところ、枝状の「スギノキミドリイシ」が午後9時半ごろから産卵を始め、10時ごろに一斉に産卵する様子を確認した。海中に精子と卵が入った直径約1ミリの「バンドル」というピンク色のカプセルが広がった。

 調査した飼育員の佐久間夢実さんによると、この日は半径10メートルほどの一部の群落で産卵が始まったとみている。今後はテーブル状のクシハダミドリイシなどの産卵も始まるという。

 佐久間さんは「毎年見ていても幻想的で感動した。卵は油膜を持っているので、水面にゆっくり上がってくる。そんな様子を見ていると、時が止まっているような感覚だった。産卵は何度か行われると思うので、今後も調査のために潜ろうと思う」と話した。

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