「東京五輪の自分は失敗という言葉がしっくり来る」3年を経て張本智和が石川佳純に語った本音とパリ五輪への覚悟

パリ五輪卓球日本代表の張本智和(21)。

2024年1月の全日本選手権男子シングルスでは自身2度目の日本一に輝き、パリ五輪では、シングルス・混合ダブルス・団体の3種目で金メダルを目指す。

そんな張本は必勝祈願で有名な東郷神社(東京・渋谷区)で、フジテレビ系でパリ五輪のスペシャルキャスターを務める石川佳純に本番へ向けた覚悟を語った。

そこには小学校5年生の時に出会い、ともに世界の第一線で戦って来た石川に対してだからこそ明かした、東京五輪への苦い思いがあった。

東京五輪シングルス敗退の意味

張本の卓球人生は驚異の急成長劇だった。

中学2年生で挑んだ全日本選手権では、リオ五輪銅メダリストの水谷隼を倒し、史上最年少の14歳で日本一になった。そして高校3年生で挑んだ初めての東京五輪では、団体で銅メダルを獲得した。

しかし東京五輪から3年経った今、当時を石川にこう振り返った。

張本:
満足して終われた大会ではなかったです。(東京五輪の自分は)大きなくくりで言うと失敗という言葉がしっくり来ます。

その理由は団体の前に行われたシングルス。個人でのメダルを期待され挑んだ張本だったが、4回戦で敗退した。

張本:
結果的に(団体で)メダルは獲れたんですけど、何より獲りたかったのはシングルスのメダルでした。

そう語る張本にとって、18歳で銅メダルを獲得しても、東京五輪は悔いの残る大会だったという。

ライバルは中国以外にも

後悔の想いを胸にパリ五輪でのメダル獲得を目指す張本。では乗り越えなくてはならないライバル国はどこにあると見ているのだろうか。

石川:
金メダルを狙う上で、中国選手の壁が立ちはだかってきますが。

張本:
もちろん最終目標は金メダルですし、そこは勝たないといけないですが、最近はヨーロッパのフランスやドイツが強いですね。

確かに、男子シングルスの世界ランキングを見てみると1位から4位までは中国選手がずらりと並ぶ中、5位にF.ルブラン(フランス)、9位にP.フランチスカ(ドイツ)、10位にチウ・ダン(ドイツ)と、11位の張本までに3人のヨーロッパ選手がランクインしている。

「まずはベスト4に入ってメダル圏内に入るということも特に男子は大事なこと」という張本にとって、メダル獲得にむけて避けては通れないのがヨーロッパの選手たちなのだ。

3年前の東京五輪でも、当時世界ランキング4位でメダルを期待された張本を4回戦で倒した相手はスロベニアのD.ヨルジッチだった。

パリ五輪金に向け…張本が起こした行動

失敗の東京五輪。そう振り返った張本は2023年、東京五輪で日本を破り、男子団体銀メダルに輝いたヨーロッパ最強国・ドイツへ武者修行をした。

石川:
環境を変えて練習することでの違いは?

張本:
ヨーロッパはスピード、パワー。相手のパワーのあるボールに慣れることで試合で恐怖心がなくなったり、あれぐらいの威力だったら取れるだろうというということには繋がります。

ヨーロッパ選手ならではのパワー卓球、その本場で経験を積むことで東京の失敗を克服し新たな成長曲線を描き始めている。

張本:
ただがむしゃらにやってた頃とは違って、試合をする上で焦る場面が減ってきましたね。

石川:
すごく印象的だったのが今年の1月の全日本選手権。苦しい試合を勝ちきったという試合。本当素晴らしいなと思いました。

張本のドイツでの成長は石川も感じ取っている。

石川が語る試合は五輪イヤーの2024年、全日本選手権決勝。張本の相手は2023年の決勝で敗れたパリ五輪日本代表の戸上隼輔だった。日本人離れしたパワーが武器の戸上相手にゲームカウント1ー3と後がなくなる張本。それでもヨーロッパで培った経験を糧に戸上の強打をしのいでいく。そして、見事逆転勝利。6年ぶり2度目の日本一に輝いた。

失敗の東京五輪から3年、今の張本に芽生えた確固たる自信と自覚。

張本:
五輪シーズンで日本一になれたのは、国内国外ともにちゃんと胸を張ってエースと言えるのかなと。東京五輪のときは少し後悔してしまった。結果は自分でコントロール出来ないが後悔するかどうかは自分で決められる。

自分の力を出し切ったその先には、より良いメダルが待っている。
心も身体も、張本の準備は万端だ。

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