対中EV関税は欧州メーカーの競争力削ぐ 独自動車工業会が声明

 ドイツ自動車工業会(VDA)は3日、欧州連合(EU)が中国から輸入する電気自動車(EV)に暫定的な補助金相殺関税(CVD)を課すことに反対する声明を発表した。関税賦課はEUの利益にならず、欧州の消費者と企業に悪影響を与えるだけでなく、EU域内のEV市場の発展も妨げ、気候変動目標の達成にとってもマイナスだとの認識を示した。

 同声明は次のように指摘した。中国製EVの輸入に対する暫定的CVDは、欧州自動車メーカーとその合弁企業に特に影響を及ぼす。EUが輸入する中国製EVの大部分は欧州と米国のメーカーが製造したものであり、これら企業の中国での協力・生産は欧州のエネルギー転換と競争力向上の重要な基盤である。一方、原材料やバッテリーなど中国の先進技術は、欧州のEV産業に保障を与えており、追加関税は欧州市場でのEV価格をさらに高騰させ、消費者の購入を制限することになる。

 VDAは、中長期的に中国製EVが欧州市場に「殺到」することはないと見ており、欧州自動車産業の競争力を向上させるには、保護貿易措置に頼るのではなく、技術革新と自由貿易の促進を通じて実現すべきだとしている。同協会は欧州委員会に対し、中国製EVに対する暫定的CVDを取り下げ、対話を通じて問題を解決し、中国と共に開かれた市場を保障し、サプライチェーンの安全性を確保し、環境保護目標を達成するために中国と協力するよう呼びかけた。

 ミュンヘンに拠点を置くifo経済研究所は3日発表した報告書で、関税によって中国製EVの地位は弱まらず、欧州自動車メーカーの効率も向上しないと指摘した。〔ベルリン7月3日発新華社=中国通信〕

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