「不妊手術」強制された聴覚障害がある夫婦 手術から半世紀 国に1320万円の賠償命じる高裁判決確定

■聴覚障害のある夫婦 50年前「強制不妊手術」

旧優生保護法のもとで不妊手術を強制された夫婦が国を訴えた裁判で、最高裁は、国の上告を受理せず、国に賠償を命じた大阪高裁の判決が確定しました。

聴覚障害がある70代の夫婦は、1974年、男の子を出産した3日後に、「不良な子孫の出生を防止する」とした旧優生保護法のもと、強制的な不妊手術で苦痛を受けたとして国に損害賠償を求めていました。

■地裁では訴え退けられるも 高裁は国に1320万円の支払い命じる判決

一審の大阪地裁では、手術から20年以上経過しているため損害賠償を求める権利が20年で消滅する「除斥期間」が適用されるとして夫婦の訴えは退けられました。

夫婦側が控訴し、二審の大阪高裁(阪本勝裁判長)は「診断書がなく裁判を起こすのが困難で、診断書取得から6カ月以内に提訴し、賠償を求める権利はなくなっていない」などとし国にあわせて1320万円を支払うよう命じました。

■国側は最高裁に上告も 高裁判決が確定

国側は上告していましたが、弁護団によると最高裁は4日上告を受理しない決定をし国に賠償を命じた大阪高裁の判決が確定しました。

旧優生保護法をめぐっては全国で同様の裁判が起こされていて、最高裁大法廷は3日、そのうちの5件について「旧優生保護法は憲法違反」として国に賠償を命じる統一判断を示しています。

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