「夏休みを短縮してほしい」「食費・エアコン代などのお金面に不安」 困窮世帯の苦悩、“パートで月収15万円”2児のシングルマザーの訴えは

「夏休みを短縮してほしい」「食費・エアコン代などのお金面に不安」 困窮世帯の苦悩、“パートで月収15万円”2児のシングルマザーの訴えは

By ABEMA TIMES編集部

【写真・画像】 2枚目

【写真・画像】 2枚目

【写真・画像】 3枚目

【写真・画像】 3枚目

【写真・画像】 4枚目

【写真・画像】 4枚目

【写真・画像】 5枚目

【写真・画像】 5枚目

【写真・画像】 6枚目

【写真・画像】 6枚目

【写真・画像】 7枚目

【写真・画像】 7枚目

7月!子どもたちにとって楽しみなのが「夏休み」。家族での海水浴にBBQ、田舎への帰省などたくさんの思い出をつくるチャンスだが、ある調査結果が波紋を広げている。

【映像】“パート月収15万円”2児のシンママ 月の支出の内訳

NPO法人「キッズドア」が困窮する子育て家庭を対象に行ったアンケートによると、夏休みの長さについて「今より短い方がよい」という回答が47%、さらに「なくてよい」が13%と、“夏休みの短縮や廃止”を希望する家庭が6割にも及んだのだ。キッズドアの田中博子調査室長は家庭からの声として、「学校の長期休みは給食がないので毎年恐怖だ」「電気代も高いし、食費もかかる夏休みはつらい」「長期休みが明けると、家族で旅行に行った友達の話を聞いてきて羨ましそうにしているので格差を感じる」と紹介している。

一方で、「苦しい気持ちは分かるけど、家計の問題は親の事情」「子どもの経験のためにできることをしてあげてほしい」といった意見もある。困窮世帯が感じている負担、子どもたちにとっての夏休みの必要性について、『ABEMA Prime』で当事者と共に議論した。

■2️児のシングルマザー「子どもが欲しいものをあまり言わない。やはり我慢させてしまっている」

2人の娘(小3・小5)がいるシングルマザーのリサさんも、夏休みを短縮してほしいという思いだ。「去年まで2人とも学童に入っていたが、今年は長女が落選してしまった。お昼ご飯を準備する食費と、エアコンなどの電気代といったお金面、時間や労力への不安がある」と話す。

リサさんは週5(土日休み)・夜勤ありのパート勤めで、収入は10〜15万円。これに児童扶養手当5万円を加えた15〜20万円が月の収入となっている。一方で支出は15万円程度あり、パートの状況によっては赤字になる月もあるという。「食費がここ最近、本当に上がっている。去年と数千円違ったりするので、買い物で控えたり我慢することが多くなった」。

また、家庭内での会話として、「子どもは夏休みを漠然と楽しみにしているが、『行くところがない』とも言っている。学校で『◯◯はどっか行くんだって』『うちは行かないよね』みたいな話になると、ちょっとかわいそうだ」とし、「欲しいものもあまり言ったことがなく、特に上の子は小さい時から『いや、いいよ』が第一声だ。やはり我慢させてしまっていると思う」と胸中を明かした。

リサさんが受けている支援は、キッズドアからの食品詰め合わせや本のプレゼント、自治体の支援機関からの学習支援、本のプレゼントなど。今後希望するのは、現状の学区にはない「子ども食堂」のような子どもの居場所で、休日も受け入れてほしいといった背景があるということだ。

■子どもにとっての夏休みの“意義” 貧困世帯に必要な支援は

NPO法人「キッズドア」理事長の渡辺由美子氏は「非正規の方は賃金が増えていない。それまでもギリギリなのに、物の値段が上がって買えるものが少なくなっている。私たちが支援している家庭でも、栄養が不足して身長や体重が増えないとか、肉や魚が買えずに貧血になってしまう子どもがいる状況だ。給食が唯一栄養バランスの良い食事だったのに、夏休みで1カ月半なくなることで、健康を害したり命の危険にさらされるような可能性がある。給食費は均等割で12カ月、夏休みの月も引き落とされる分、年収200万円以下で家賃などを払うと食費の負担は大きい」と指摘。

一方で、夏休みの“意義”を語る。「子どもにとってすごく待ち遠しいもので、親も喜んでいる子どもを見たり子育てする楽しみを感じる時期だ。そういうものがなくなると、“少子化だから子どもを産め育てよ”と言われても理解できないし、『何のために子どもを育てているのかわからない』というお母さんたちの声も聞く。お金がないために親は一日一食とかで我慢し、身体を壊してメンタルをやられる、ということがコロナ以降ずっと続いている。どんどん状況が悪くなっている」。

コラムニストの小原ブラス氏は「子どもにとって、夏休みは幸福指数が相当高いものだと思う。困窮世帯のしわ寄せが子どもにいき、支援も不十分なのであれば、お金のない人は子どもを産んではいけない時代だとむしろ感じる。夏休みをなくすのではなく、国にベクトルを向けないといけない」との考えを述べる。

起業家・投資家の成田修造氏は、夏休みは「惰性で続いているのではないか」との持論を展開。「僕は北区の公立小学校で、夏休みにどこかに行ったとか、楽しかった・幸せだったという思い出がない。せいぜい開放された学校のプールぐらいだ。夏休みは誰の・何のためにあるのか?というのは、考え直してもいいのではないかと思う。ただ、給食がないことが負担になる家庭が多いのもわかるので、子ども食堂なり、地域や国がお金を出して支援する必要はある」とした。

渡辺氏は、子どもの変化を感じているという。去年は「おなかすいた」「◯◯行きたい」と言っていたのが、今年は「◯◯したい」とすら言わず、自発的に我慢するようになっているということだ。それが貧困の長期化と深刻化の表われだと警鐘を鳴らしている。

「私たちのアンケートでは、小学3年生の息子が体調が悪くても学校に行っていたと。理由を聞くと、『自分の体調が悪いと、お母さんが仕事を休まなきゃいけない。来月の生活が苦しくなるのがわかっているから、そんなの言わない』と言われてつらかったという声がある。子どもはお母さんのことが大好きで、困らせないようにする。そういうことは特にひとり親世帯は起こりやすい」

その上で、(1)低所得世帯への現金給付、(2)最低賃金の底上げ、(3)体験活動の支援の3つを国に求めている。「子どもに対する手当は、日本はすごく少ない。例えば、政府が所得の少ない人に給付金を出そうと、住民税非課税世帯を対象にしようとすると、8割ぐらいが高齢者になる。そこで全体に配ろうとすると大変だが、貧困家庭でご飯が食べられない子だけになら、そんなにお金は必要ない。コロナの時に低所得家庭の子どもに1人当たり5万円を現金給付したが、そういったものをまたやってほしい」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)

© ABEMA