電子部品の下請け…借入1億、崖っぷちから奇跡の復活 年商70億に成長した鳥取の企業 「シートマスク」が空前の大ブーム

空前のブームとなっている「シートマスク」。
調査会社インテージが発表している「2024年上半期売れたものランキング」によると、金額前年比トップ3は、3位が強心剤、2位が靴クリーム、そして1位がパック(シートマスクなど)となりました。
実は、今注目のシートマスクの製造シェア国内トップクラスを誇る会社が、鳥取県米子市にあります。
借入1億円、売り上げ2000万の崖っぷち下請け会社が、年商70億円まで成長した理由とは?

まず取材班が訪れたのが、今年5月にオープンしたばかりのMEGAドン・キホーテ米子店。

小崎純佳キャスター
「こちらがシートマスクのコーナーです。売り場面積が広く、たくさんの種類のシートマスクが並んでいます」

店内でもとりわけ注目されているのが、顔の形をしたシートに化粧水や美容液を浸み込ませたスキンケアアイテム「シートマスク」です。

買い物客は
「好きなユーチューバーさんとかみんなが使っているので、毎日使っています」
Q.毎日使うようになったのはいつぐらいから?
「半年ぐらい前ですね。それまで全然お肌とか気にしていなかった」

買い物客は
「お休みの日とか、寝る前とかに使います。次の日のお化粧の乗りが全然違います!」

買い物客は
「週1とかで使います」「友達もみんな結構使っています」

MEGAドン・キホーテ米子店 コスメ担当のスタッフ
「いまドン・キホーテ米子店では約300種類を取りそろえております。10代~70代と、幅広い年代からフェイスパックは愛されている実感はありますね」

ドン・キホーテでの商品取扱数も増加傾向、近年は男性の購入客も増えているといいます。

MEGAドン・キホーテ米子店 コスメ担当のスタッフ
「自分も色々試していて。やっぱり合う合わないというのがあるので、お客様に聞かれた際にお答えできるかなと思います」
Q.どれぐらいの頻度で使っていますか?
「毎日ですね」

インテージの調査によりますと、シートマスクの市場規模は近年増加傾向にあり、2023年には500億円を突破。
2024年は上半期の時点ですでに300億円を超えており、今年は600億円を上回る勢いです。

外出の機会が増え化粧品需要が回復したことに加え、韓国コスメの拡大や、有名タレントによるパックブームが起きるなど、複数の要因が後押ししたと考えられています。

ところで、取材班が気になったのは…

小崎純佳キャスター
「こちらの商品みてください。製造販売元の欄に、鳥取県米子市とあります」

すぐさまパッケージに記載されていた「進製作所」へ向かい、製造現場に潜入させてもらいました。

製造工場内では、休む間もなくシートマスクが次々と製造されていきます。
それもそのはず…

進製作所 製造部 遠藤愛美さん
「いま日本ではベスト3に入る数を製造しています。1000種類以上、1日約150万枚製造しています」

進製作所のシートマスク製造シェアは国内トップクラス!
実に1000種類以上、口コミサイトなどで圧倒的人気を誇る「ダーマレーザー」シリーズもここで製造されています。

シートマスクが入った袋の中に美容液などがたっぷり投入され、袋の口を閉じる。
それをひとつひとつ人の目で見て、触って、検品していきます。

進製作所 製造部 遠藤愛美さん
「半分以上は手作業で行っています。パウチの印刷不良だったり、穴の開いたものもありますので、液漏れしていないかなどのチェックをしています」

進製作所がシートマスクの製造を始めたのはおよそ10年前のこと。
実はこの会社、元はというと…

進製作所 進浩史郎 社長
「会社もいま50年近くになるんですけど、最初は電子部品の下請けでした。やはり時代の流れもあって、下請けっていうこと自体がなかなか難しくって、何とか自分たちの名前が入った商品をというところで始めました。売り上げ2000万、借入1億というところからスタートでした」

およそ20年前、崖っぷちの状況で父から会社を継いだ進社長。
下請けからの脱却を目指し、石鹸やお菓子など、様々な分野にチャレンジしました。
そして、紆余曲折を経てようやくたどり着いたのが「シートマスク」だったのです。

進製作所 進浩史郎 社長
「すごい韓国で流行っていまして、絶対日本にも来ると思って始めました。始めたときと比べますと、製造数は150倍になっています。」

進製作所での製造数・売上は特にこの3年間で爆発的に増加し、昨年度の売り上げはおよそ38億円と過去最高を記録。
そして、今年度の売り上げ見込みはおよそ70億円、大成長を遂げました。

一時は10人ほどだった従業員もいまではおよそ150人に増加しています。

進製作所 進浩史郎 社長
「やっぱりあきらめなかったからです。ずっと一緒に働いてくれている仲間、その人たちを幸せにしたいという気持ちが一番です」

進社長は、今後は自社製品の開発にも力を入れていきたいと意気込んでいます。
勢いが止まらない米子市の会社から、今後も目が離せません。

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