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「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。今回は【チャイブ】です。
↓↓本連載の他、桐原春子さんの記事は
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ガーデニングでも人気の【チャイブ】
細ネギやアサツキを小ぶりにしたようなチャイブ。欧米では身近なクッキングハーブとして日常的に利用されています。花も愛らしく、ガーデニングでも人気です。
別名/エゾネギ(和名)、シブレット
科名/ヒガンバナ科
性質/多年草
草丈/20~30㎝
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新鮮な葉や花を幅広い料理に
チャイブはシベリア、ヨーロッパ、北アフリカなど北半球に広く分布しているハーブで、北米やヨーロッパでは商業的な栽培も行われています。
桐原春子さんによると、中国では紀元前から料理や薬用に利用されたそう。
「13世紀に中国を訪れたマルコ・ポーロによって利用法がヨーロッパに紹介され、その後アメリカに渡り、クッキングハーブとして人気が高まりました。群がるようにして葉を出すことから、チャイブスと複数形で呼ばれることもあります」
ネギのような香りがありますが、風味は繊細でさまざまな料理に合わせやすい。
「フランス料理の香味料として知られるフィーヌゼルブの材料に、タラゴンやパセリなどとともに使われます。葉も花もフレッシュのまま利用でき、ポテトサラダに振りかけたり、各種ソースに入れたり、ポタージュスープに散らしたりと、味と色のアクセントづけに最適です。バターやチーズに練り込んでパンに塗ってもおいしいですよ」
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北国でもよく育ち、ガーデンを彩る
花もチャイブの大きな魅力だといいます。
「冷涼な地方でもよく咲き、欧米ではキッチンガーデンになくてはならない存在です。私も自宅のポタジェ(野菜畑)に植えていますが、2年目から株がどんどん増え、花盛りの頃はとてもきれいでうれしくなります」
チャイブはタネをまいて育てることもできますが、苗を容易に入手できます。
「日なたから半日陰の、肥沃な土壌を好みますが、日当たりのよいほうが繁茂します。酸性土壌は好まないので、あらかじめ培養土に苦土石灰を施しておきましょう。花を観賞したい場合は、葉の収穫は開花後に行います。収穫後も再度、株元から葉が伸び、何度も収穫できます」
アサツキよりマイルドな風味
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チャイブを3株、素敵な素焼きの鉢に植えました。アサツキの仲間ですが、アサツキのようなしっかりした鱗茎(球根)はなく、味も香りも穏やかなのが特徴。
初夏には紫紅色の花をポンポンと咲かせます。小枝を組んだ小さな支柱を添え、細い葉茎をそっと支えて。
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活用アイデア① チャイブのオムレツ
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アメリカではかつて、チャイブのオムレツを花で飾った「ブルーフラワーオムレツ」が人気となったそう。チャイブをふんだんに使い、海の幸をプラスしたごちそうオムレツを作ってみました。ほどよい塩けとコクがありご飯にもよく合います。
作り方(2人分)
❶ボウルに卵2個を割り入れ、粗みじん切りにしたチャイブ(フレッシュ)大さじ1、こしょう少々、かにほぐし身小1缶(約50g)を汁とともに加えて、泡立て器で混ぜる。
❷フライパンにオリーブ油適量を熱し、①を流し入れスクランブルエッグの要領で火を通す。
❸茶碗にラップを敷き、スプーンで②を詰める。
❹③をラップごと茶碗から取り出し、上下を返すようにして皿に盛り、うにと適当な長さに切ったチャイブ(フレッシュ)各適量をのせる。飾りでチャイブ(フレッシュ)を添えても。
活用アイデア② チャイブ風味のカリカリじゃこ豆腐
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チャイブは和風料理とも相性がよく、日本人になじみ深い細ネギのように、薬味として気軽に使えるのがうれしい点。冷ややっこや納豆に使うのも楽しい試みです。
作り方(作りやすい分量)
❶フライパンにオリーブ油大さじ2を熱し、ちりめんじゃこ40gを加えてカリカリになるまで炒める。みじん切りにしたオリーブの実の塩漬け2粒を加え、混ぜる。
❷豆腐(木綿または絹)1丁を好みのサイズに切り分けて器に盛り、①をかけ、適当な長さに切ったチャイブ(フレッシュ)適量をのせる。
活用アイデア③、④ チャイブソルト&ビネガー
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チャイブにはビタミン類、カルシウム、鉄分などが含まれ、殺菌、解熱、抗酸化、血行促進の作用があるといわれています。育てたものを収穫してビネガーやソルトに使い、暮らしに役立ててみましょう。
ビネガーは、好みの酢にフレッシュなチャイブを適量漬け込むだけ。開花期に花ごと入れると、少しの間、酢がほんのりとピンクに色づいて見た目もきれいです。
チャイブソルトの作り方(作りやすい分量)
❶15㎝長さのチャイブ(フレッシュ)8本を耐熱皿にのせ、電子レンジ(500W)で1分加熱して乾燥させる。完全に乾いていない場合は、30秒ずつ追加で加熱する。
❷①をポリ袋に入れて粉々にし、塩大さじ5、タイム(パウダー)とクミン(パウダー)各少々を加えて混ぜる。
撮影/川部米応
※この記事は「ゆうゆう」2022年11月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
※2023年11月5日に配信した記事を再編集しています。
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監修者
園芸研究家 桐原春子
英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。