KOKUSAI株売り出しへ、3000億円規模 KKRなど売却=関係者

Sam Nussey

[東京 9日 ロイター] - 米投資ファンドのKKRが、保有する半導体製造装置メーカーのKOKUSAI ELECTRIC株の一部を売却することが分かった。複数の関係者が明らかにした。日本株全体、とりわけ日本勢が強い半導体の製造装置や部材銘柄が上昇する中で投資資金を回収する。

関係者の1人によると、売却によりKKRのKOKUSAI株保有比率は約43%から20%近くまで低下する。売却規模は現在の株価で2500億円程度になる。株式放出による市場への影響を抑えるため、KOKUSAIは、自己株式を取得する。

別の関係者によると、KOKUSAIは今週中にも売り出しを決議する。KKR以外も放出する見込みで、売り出し総額は3000億円規模。KOKUSAIはKKRと二人三脚で進んできたが、経営の独立性が増すことになる。個人投資家などへも幅広く株式を販売し、投資家層のすそ野を広げる。

KOKUSAIは「現時点で決定した事実はない」とし、コメントを控えた。KKRはコメントを控えた。

もともとKOKUSAIは日立製作所の子会社だった日立国際電気の一事業で、日立が事業の選択と集中を進める中、2018年にKKR傘下に入る形で分社化した。その後にKOKUSAIは米アプライド・マテリアルズとの経営統合を計画したが中国独禁当局の承認を得られず断念し、23年10月末に東京証券取引所に株式を上場。KKRは一部株式を1000億円程度で売却した。

日経平均が最高値を更新するなど日本株全体が上昇し、特に人工知能(AI)ブームで半導体関連株に追い風が吹く中、成膜装置で世界トップクラスのシェアを持つKOKUSAIの株価は上場時の3倍に膨らんだ。足元の時価総額は1兆円を超えており、KKRは保有株のおよそ半分を追加で手放し利益を確定する。

KOKUSAIの24年3月期の連結売上高は1808億円。最終利益は223億円だった。台湾積体電路製造(TSMC) とサムスン電子など大手半導体製造会社に装置を供給する。

KOKUSAIの競合である東京エレクトロンの株価も年初来4割上昇。信越化学工業やSUMCO、アドバンテストなど半導体・部材・製造装置29銘柄で構成する日経半導体株指数は3割超上昇している。

(Sam Nussey 編集:久保信博)

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