印象に残っている「タクシー」ソングといえば?

110年以上前の1912年(明治45年)7月10日に、東京・有楽町(現在の有楽町マリオン)にて日本初のタクシー会社「タクシー自働車株式会社」が設立されました。翌月(7月末からは大正)にタクシーメーターを装備したT型フォード6台で営業を開始しています(全タク連では8月5日を「タクシーの日」と制定)。

いまや生活の“足”としてなくてはならないタクシーですが、それゆえタクシーについて歌った楽曲も数多くあります。そこで、いくつか印象の強い“タクシー”ソングを紹介していきたいと思います。

ずばり“タクシー”を曲名に冠したもので、まず名が挙がる曲といえば、鈴木聖美の「TAXI」でしょうか。1987年11月にリリースされたシングルで、鈴木聖美の弟の鈴木雅之率いるラッツ&スターがバックコーラスを務めています。“TAXIに手を上げて……”で始まるこの曲は、鈴木雅之らがカヴァーするほか、カラオケの定番ソングとしても長く親しまれています。

そのほか、東方神起、超特急、LINDBERG、米倉利紀、Salyu、藤木直人など多くのアーティストが、「TAXI」というタイトルの楽曲を歌っています。

記憶に強く残っているといえば、K-POPブームの中心的存在だった少女時代の「MR.TAXI」もそのひとつ。「GENIE」「Gee」に続いて2011年4月にリリースされた日本3枚目のシングルで、韓国版の日本語カヴァーではなく、初の日本オリジナル楽曲となったダンス・チューンです。リズミカルな“TAXI,TAXI,TAXI...”のフレーズやダンスをはじめ、タクシー(イエローキャブ)を模したと思われる黄色と黒の衣装も話題となりました。

タクシーをテーマにする際は、ドライバーにも触れることが少なくないようです。中島みゆきをはじめ、谷村新司、レミオロメンらが「タクシードライバー」、林田健司、SEEDAなどが「Taxi Driver」のタイトルで楽曲を発表。シャ乱Qは、人気TVバラエティ番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』のダウンタウントークの出囃子として使用され、松本人志が作詞・作曲を手掛けた「タクシードライバー」をアレンジした“シャ乱Qヴァージョン”を制作。同曲は1999年3月リリースのシャ乱Qの2枚目のベスト・アルバム『ベストアルバム おまけつき '96~'99』に収録されています。

近年では、音楽をPUNPEE、VaVa、OMSBが務め、実力派声優陣のほか、ミキ、ダイアン、たかし(トレンディエンジェル)、村上知子(森三中)などの芸人たちが多く参加したことでも話題となった、2021年放送のオリジナルアニメ『オッドタクシー』のオープニングを飾ったのが、スカートとPUNPEEによるコラボレーション楽曲「ODDTAXI」。同曲は『「ODDTAXI」ORIGINAL SOUNDTRACK』(写真)のほか、スカートのメジャー4thアルバム『SONGS』でも聴くことができます。

それ以外では、キャロル「ヘイ・タクシー」、ORANGE RANGE「HYSTERIC TAXI」、久保田利伸「POLE POLE TAXI」、中山美穂「Midnight Taxi」、大塚愛「未来タクシー」、浅野ゆう子「ムーンライト・タクシー」、ユニコーン「俺のタクシー」、柴咲コウ「カラフルタクシー」、吉澤嘉代子「地獄タクシー」、クリープハイプ「NE-TAXI」など、さまざまな“タクシー・ソング”が誕生しています。

プロ野球や上田桃子、宮里藍、石川遼といったゴルフ選手の話題をタクシー運転手と中年男性の乗客とが車内で繰り広げる様子をセリフ語りで歌った(セリフが大部分を占める)、吉田拓郎の「真夜中のタクシー」のサビ“乗るも乗らないも あなたしだい”よろしく、聴くも聴かないもあなた次第ですが、タクシーにまつわる日にタクシー・ソングを聴いてみるのも一興ではないでしょうか。

なお、「真夜中のタクシー」は、2009年4月リリースのアルバム『午前中に…』に収録されています。

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