快活CLUB/渋谷センター街に新業態7/11オープン、3年で全国60店舗目標

快活フロンティアは7月11日、シェアリングスペース「快活CLUB渋谷センター街店」をオープンする。10日、メディアに店内を公開した。

<店舗外観>

客層拡大による事業成長を図る同社にとって、渋谷区内への出店は初めて。コンセプトは「スキマ時間のKEY PLACE」。新業態となる同コンセプトの店舗を、今後3年間で全国の繁華街都市部を中心に約60店舗出店する計画だ。快活CLUBは店舗ごとに価格設定が異なるため、売上よりも客数を人気の指標としている。新店の客数は、既存店の平均来客数の2倍を目指す。

これまで同社では、1日の余暇時間をゆっくり過ごす人を主な顧客層としてサービスを展開してきたが、新たな提供価値として「スキマ時間」に着目。繁華街立地の同社店舗では、プライバシーの確保を特長とする鍵付き完全個室で、日中のビジネスマンの「スキマ時間」利用が拡大しているという。こうした背景を踏まえ、店舗内外装の意匠や設備面に加え、ロゴマークを新屋号に刷新した。

オープンに際して、竹島文明 社長は「快活CLUBでは近年、新宿・赤坂・池袋といった繁華街都市部への出店を推進してきた。その中で今回、ようやく渋谷の物件とのご縁をいただき、大変ありがく思っている。『KEY PLACE』が皆様にとって価値ある店舗となれるように、全力で取り組んでいく」とコメントしている。

<カフェラウンジ>

「KEY PLACE」最大の特徴となる新設のカフェラウンジは、お洒落な広々とした内装が特徴。机やソファが動かせるため、隣同士でつなぎ合わせて使うなど、複数人での利用にも向いている。コロナ禍前に登場した店舗では、共用部を複合カフェとして運用していたが、働き方・生き方の多様化に合わせてシェアリングスペースとしての機能を充実。壁際の席にはコンセントも設置した。

店内で自由に読めるコミック数は約4000冊。個室に持ち込んで読むこともできる。他店と比べてラインアップは少ないが、同社の全店でどのコミックが人気かどうかをランク付けしており、その中から人気コミックを選別した。新刊が随時出るため、市場の変動に合わせてコミックの交換は随時行われる。読まれなくなった本は他店舗に送ったり、提携先の本屋に返送したりするという。

2階の共用部にはこのほか、セルフプリンターやシャワー、喫煙所などを設置した。

<ドリンクバー>

ドリンクバーで扱う飲み物の種類は、快活CLUBの既存店でも良く飲まれている物の中からチョイス。上記写真の左側には、オープン時から食べ放題で提供するソフトクリームの機械が置かれる予定だ。今回、厨房は作っておらず、「KEY PLACE」業態では現在、食事を扱う予定は無し。店内に飲食物の持ち込みは可能で、都心の飲食店でテークアウトした料理をくつろぎながら喫食できる。

なお、郊外の快活CLUBでは、都心型店舗と比較して、提供するコンテンツが根本から異なるという。さまざまな店舗で食事を提供しており、随時新メニューを更新。加えて、アミューズメント機能も持たせ、ダーツにビリヤード、カラオケを複数の店舗で設置している。

一方の「KEY PLACE」は都市部での出店が中心となるため、周囲にさまざまな飲食店やコンビニなどの店舗が必然的に多くなる。食事機能は周囲に充実しているため、厨房を作るよりも、顧客がゆったりとくつろげる空間・場所の確保を優先させたい考えだ。遊具も採用しないことで滞在性に特化し、差別化を図った。

新業態を展開する前に、社内で調査・研究を重ねた結果、駅前立地ではアミューズメントよりも座れる場所自体のニーズが高いことが判明。新店では、ただ休むのではなく「雰囲気が良い、また行きたい」と感じてもらえることを重視している。

<3階入口>

渋谷センター街店の個室フロアは3階と4階となる。既存店では各フロアの色合いが統一されていたことで「自分が現在何階にいるのか分かりにくい」という声もあったという。そこで3階は緑、4階は青と、階層ごとに変化を付けた。個室の内装は、背もたれが180度倒れる多段階リクライニングチェアのある「多機能」タイプと、靴を脱いで足を伸ばせる「フラット」タイプの2種となる。

<多機能/フラット>

室内は全室同じ広さで、価格も同一。ゆっくりくつろぐのに向いているマットルームの「フラット」タイプの方がユーザーから人気を集めていることから、新店では「フラット」タイプが個室の7割を占める。2部屋を確保して、片方の部屋に荷物を置き、もう1部屋を2人で映画鑑賞用に利用するといった使い方も可能だ。既存店にある「ワイドルーム」「VIPルーム」などは無い。

鍵の開け方は、1年ほど前から採用しているQR方式。入店時の発行されるレシートのQRまたはアプリの会員ページに表示されるQRのどちらかをかざして開錠する。

<受付>

受付は完全セルフレジで行う。初入店の際には会員登録が必須のため、会員証の発行場も併設している。利用価格は、新店オープンを記念して値下げしており、開店時はラウンジ利用が1時間480円、個室利用が1時間980円とした。

また、今後の出店計画については、名古屋と中目黒への出店が現在決定している。基本的に全国の繁華街に向けて計画を練っており、いずれも「KEY PLACE」の屋号で出していく。既存店の業態転換は現在考えておらず、出店攻勢をかける。

だが、課題もある。快活CLUBの女性客は現在25%ほどで、郊外ではさらに低い20%程度。しかし都市部では35%の店もある。そこで女性が比較的来店しやすい都市部で女性客の増加を狙うため、新業態のプロジェクトメンバーは女性社員を中心に構成した。業容拡大に向け、幅広い利用者を取り込む「KEY PLACE」の展開を推進していく。

<貸出備品>

■快活CLUB渋谷センター街店
所在地:東京都渋谷区宇田川町24-10 横田ビル2~4階
営業時間:24時間営業
設備:ROOM(鍵付き完全個室)45席、CAFE LOUNGE24席、FREE Wi-Fi、充電、ドリンクバー、シャワー、コミック・雑誌、プリンター(複合機)等
特設サイト:https://www.kaikatsu.jp/lp/shibuya-keyplace/

取材・執筆 古川勝平

■渋谷の関連記事
渋谷アクシュ/7/8開業・総事業費275億円、商業は飲食中心に15店舗オープン

© 株式会社流通ニュース