マイクロソフト、オープンAI取締役会へのオブザーバー参加中止

Foo Yun Chee

[ブリュッセル 10日 ロイター] - 米マイクロソフトは、オープンAIの取締役会にオブザーバーとして参加することを中止した。欧米規制当局の監視が強まっていることが背景。

ただ、 米連邦取引委員会(FTC)の関係者はこの変更によって同委員会の懸念が解消される可能性は低いと指摘する。FTCは巨大IT(情報技術)企業と主要AI企業による取引について、反トラスト法(独占禁止法)違反を巡る調査を行っている。

同関係者はマイクロソフトの動きについて、反トラスト法違反の可能性が大きいとみて先手を打とうとしているようだと語った。

マイクロソフトの広報担当者はコメント要請に応じなかった。

同社はオープンAIに宛てた9日付の書簡で、オブザーバー参加中止の理由として、サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)復帰以降のオープンAIの新たなパートナーシップ、イノベーション、顧客基盤拡大などに言及。

「過去8カ月間、われわれは新体制の取締役会による大きな進歩を目にし、会社の方向性に自信を持っている。これらのことを踏まえると、もはやオブザーバーとしての限定的な役割は必要ないと考えている」と述べた。

関係筋によると、米アップルも予想に反し、オープンAIの取締役会にオブザーバーとして参加しないことを決めた。オープンAIは今後オブザーバーの役割を提供する計画はないという。アップルはコメント要請に応じなかった。

オープンAIの広報担当は、戦略的パートナーであるマイクロソフトやアップル、投資家であるスライブ・キャピタル、コスラ・ベンチャーズなど利害関係者と定期的に会合を開く体制を整える方針を示した。

マイクロソフトは昨年11月、オープンAI取締役会にオブザーバーとして参加すると発表。機密情報にアクセスできるが、取締役の選出などに関する議決権はなかった。

マイクロソフトはオブザーバー参加に加え、オープンAIに100億ドル以上を投資しており、マイクロソフトがオープンAIにどの程度の影響力を行使しているのか欧州連合(EU)、英国、米国の反トラスト法当局が注視している。

両社は現在、法人顧客へのAI技術の販売で激しく競争するようになっている。収益確保に加え、規制当局にそれぞれの独立性を示す狙いがある。

*内容を追加しました。

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