米政府機関による陰謀「ボルト・タイフーン」の内幕を暴く

米政府機関による陰謀「ボルト・タイフーン」の内幕を暴く

 【新華社北京7月10日】中国国家コンピューターウイルス緊急対応センター(CVERC)、コンピューターウイルス防治技術国家工程実験室および中国のサイバーセキュリティー大手360数字安全集団は4月15日に発表した特別報告書で、米国の主張する「ボルト・タイフーン」という組織を追跡、分析し、ランサムウェア犯罪集団としての実態と中国に関する虚偽情報拡散に利用した米国の事情を明らかにした。

 共同技術チームは信頼できるデータを全面的に分析し、最新の調査結果と合わせて中国に対する中傷キャンペーンの全体像を把握した。「ボルト・タイフーン」のケースは、米国の情報機関が背後で画策し、連邦議会の反中議員、複数の連邦政府行政部門と「ファイブ・アイズ」諸国のサイバーセキュリティー当局が関与した虚偽情報と世論操作の作戦と言える。

 ▽三つの疑問点から警報でっち上げの内幕を暴く

 米国のいわゆる証拠と関連発言は矛盾しており、主に三つの疑問点がある。

 疑問点1:既存の証拠を改ざんするという自己矛盾。共同技術チームは以前の報告書で「ボルト・タイフーン」の起源を追跡し、米企業スレットモンが発表した「ダークパワー」と呼ばれるランサムウェア犯罪組織と密接な関係があることを突き止めている。報告書の公表後、米国は証拠を隠すため、同社に対して発表済みリポートの内容を改ざんするよう命じた。

 匿名のスレットモン関係者によると、同社は米政府の関連部門から圧力を受けてリポートを修正したという。米国のサイバーセキュリティー企業に政府関連部門による広範な操作が及んでいることが推測できる。

 疑問点2:米国当局とサイバーセキュリティー企業は「口裏合わせ」ができていない。「ファイブ・アイズ」諸国の警報は「ボルト・タイフーン」が米ネットギアなどのサプライヤーが製造したネットワーク機器に侵入し、それを踏み台にする(さらなる攻撃を実行する)と主張した。ネットギアが「ボルト・タイフーン」による攻撃を巡り発表した通知を見ると、「ボルト・タイフーン」による同社製品に対する脆弱性攻撃は見つかっていないと記載されている。

 疑問点3:米国のサイバーセキュリティー当局の行動は一貫性を欠いている。米司法省のウェブサイトは1月31日、通達を公表した。2023年12月に開始した特別作戦で全米の何百ものルーターからKVボットネットプログラムを排除し、「中国の支援を受けたハッカー」による米国の重要インフラ侵入の試みを打ち破ったと主張している。

 一方、24年4月18日には米連邦捜査局(FBI)長官が公の場で「中国政府と関わりのあるハッカー組織が米国の重要インフラに侵入し、壊滅的な攻撃を実行する適切なタイミングを待っている」と述べた。2カ月余りで米政府機関はいわゆる「中国のサイバー攻撃」を阻止するというテーマに関し深刻な矛盾を来した。

 ▽「ボルト・タイフーン」に隠された陰謀

 数々の疑問がある中、米国のサイバーセキュリティー当局は一見証拠十分なようで実は穴だらけのいわゆる「国家の支援を背景にした」ハッカー組織という主張を続けている。背後により深い目的があると疑わざるを得ない。

 技術チームは追跡と分析を続け、米国の情報機関が行政権を乱用し、サイバーセキュリティー企業や他の行政機関を操作して虚偽情報の作成と拡散を行い、「中国サイバー脅威論」を仕立て上げ、吹聴した真の目的をつかんだ。

 それは米国の納税者と連邦議員を脅し、米国内の反対の声を抑圧し、中国企業の合法的な権益を侵害し、「令状なしの監視法案」と呼ばれる外国情報監視法(FISA)第702条の延長を強行、連邦議会でより大規模な予算の承認を得て、米国の情報機関のネットワーク浸透能力、特に対外攻撃と競争相手を威嚇する能力、対内監視と国民制御能力を強化することにほかならない。

 こうした背景の下、米国の情報機関は共同で「ボルト・タイフーン」計画を立ち上げ、上記二つの緊急事態に対処しようとした。技術チームの分析では、計画は23年初め、またはさらに早い段階で開始された可能性が高い。

 ▽米政府機関こそが計画の黒幕

 既存データの分析によると、23年5月から現在まで1年余りの間に、米政府機関を背景にしたハッカー組織が中国の政府や大学、研究機関、大企業、重要インフラに仕掛けたサイバー攻撃は延べ4500万回以上に及ぶ。明確な被害を受けた組織は140を超え、被害を受けた組織のシステムから見つかった攻撃兵器のサンプルは、米中央情報局(CIA)、国家安全保障局(NSA)、FBIなどを指し示しており、攻撃の背後に702条による権限付与があることを示唆している。

 「ボルト・タイフーン」計画を俯瞰することで、明確な結論を導き出せる。多くの国と機関、企業、政財界人が関与する巨大な計画は、強大な権力と資源の後ろ盾を必要とする。米政府機関こそが計画の黒幕であり、情報機関は具体的な立案と実行を担っているに過ぎない。

 「ボルト・タイフーン」計画は、米国国内で激化し続ける政治闘争と利権闘争、また国際的な覇権維持に対する米国の執着の必然的産物であり、米国の金権政治の本質を改めて世に示した。

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