機械受注5月は予想外の3.2%減、判断「持ち直しに足踏み」へ下方修正

Kentaro Sugiyama

[東京 11日 ロイター] - 内閣府が11日に発表した5月の機械受注統計によると、船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は前月比3.2%減だった。ロイターの事前調査では前月比0.8%増と見込まれており、予想外のマイナスとなった。受注額の減少は2カ月連続で、内閣府は基調判断を2022年10月以来となる「持ち直しの動きに足踏みがみられる」へ引き下げた。前年比では10.8%増だった。

基調判断は4月まで2カ月間、「持ち直しの動きがみられる」だったが、5月は前月比が2カ月連続で減少し、3カ月移動平均もマイナスに転じたことを踏まえて下方修正した。

製造業は前月比1.0%増の4237億円で、2カ月ぶり増加。業種別では「電気機械」、「情報通信機械」、「その他製造業」などが押し上げに寄与した。

一方、非製造業(除く船舶・電力)は同7.5%減の4397億円と2カ月ぶりに減少した。「通信業」は携帯電話の基地局などで使われる装置の発注が減少傾向。「不動産業」、「金融業・保険業」は前月増加した反動でマイナスとなった。

外需は前月比9.1%増の1兆4878億円で、2カ月連続で増加した。

大和証券のエコノミスト、鈴木雄大郎氏は、日銀短観などの設備投資計画は底堅い結果となっているものの受注額は横ばい圏内での推移にとどまっているとし、「先行き不透明感などを背景に、計画から受注へ移せていない可能性がある」と指摘。その上で「設備投資の本格回復には製造業の生産能力強化ニーズが欠かせないが、円安や経済安全保障の観点から製造業の国内回帰の期待が高くなっているものの、緩やかなものにとどまりそうだ」との見方を示した。

機械受注統計は機械メーカーの受注した設備用機械について毎月の受注実績を調査したもの。設備投資の先行指標として注目されている。

*内閣府の発表資料は以下のURLでご覧になれます。

https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/menu_juchu.html

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