日経平均が初の4万2000円、米ハイテク株高を好感 達成感で伸び悩みも

Noriyuki Hirata

[東京 11日 ロイター] - 11日の東京株式市場では日経平均が史上最高値を更新し、4万2000円の大台に初めて乗せた。米国市場でのハイテク株高を好感、寄与度の高い半導体関連や電子部品などに買いが集まった。一方、短期的な達成感や過熱感も意識されており、伸び悩みもみられる。

前日の米国市場では、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数とS&P総合500種が過去最高値を更新した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長による議会証言を受け、FRBが9月に利下げするとの期待が高まった。国内でも東京エレクトロンなど半導体関連株やハイテク株に買いが先行した。

加えて「海外勢の資金流入が影響しているのではないか」と、岩井コスモ証券の有沢正一投資調査部部長はみている。直近の海外勢の資金流入をデータで確認することは難しいが、世界的に認知度の高い主力の大型株がしっかりしていることや、このところ後場に入って一段高となることが多いことから「欧州や中東からの買いが入っているのではないか」(有沢氏)との見立てだ。

海外勢は5月後半から現物株の売り越しが続いていたが、6月第4週に買い越しに転じたことも、市場の思惑を後押ししている。

足元で株高基調が強まってきた背景について、東京海上アセットマネジメントの若山哲志株式運用部シニアファンドマネージャーは複数の要因を指摘している。

1)米国での年内2回の利下げへの期待があるほか、2)米大統領選の討論会でトランプ氏の優勢が強まって前回政権時の減税のイメージもあって株価にポジティブとの受け止めが出ていること、3)為替が円安水準で安定し、業績への効果を織り込める状況になってきたことーーなどを挙げ「株価の水準自体に違和感はない」という。

7月8日と10日に見込まれた上場投資信託(ETF)の分配金捻出に伴う売りを見越して売りポジションで備えていた投資家もいたとみられ、急ピッチな株価上昇で踏み上げになったとの見方もある。

きょうの株高は「ETFの分配金捻出の売りという需給的な峠を越したことも大きいだろう」と大和証券の林健太郎シニアストラテジストは話す。

一方、初めて4万2000円の大台に乗せた達成感もあり、朝方の買いの一巡後は、利益確定売りが上値を抑制して日経平均は伸び悩みもうかがえる。25日移動平均線からの乖離率は買われ過ぎを示唆する5%を上回り、短期的な過熱感が意識されている。日本時間の今晩には米国の6月消費者物価指数(CPI)の発表が予定されており、手控えにつながりやすい。

「目先の日経平均は、足元の4万2000円台をしっかり維持できるかが焦点となりそうだ」と岩井コスモの有沢氏は話している。

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