「炉端かば」に居酒屋メニュー「ヴィーガンコース」…仕掛け人は和職歴45年のヴィーガンプロデューサー、転身のきっかけは「奥さんの病気」

インバウンド客が回復する中、様々な食生活の人たちが日本を訪れています。
こうした中、ベジタリアンやヴィーガンの人たちにも旅を楽しんでもらおうと奮闘する1人の男性がいます。

こんがりと焼けたお肉、丼に乗せ盛り付けたら…おいしそうなカルビ丼の完成です!
しかし実はこれ…

カフェうぇるびー ヴィーガンプロデューサー 福井勇吉さん
「お野菜100%をベースで作っていますので、動物性のものは一切なく全て植物性で作っています」

今年3月、鳥取市にオープンした「カフェ うぇるびー」。
ここで提供されるのは肉や魚、さらに、卵や乳製品なども使わないヴィーガン食。山陰でも数少ない専門店です。

さきほどのカルビ丼は代替肉としておなじみ大豆ミートが使われています。

そしてこちらは「ホットサンド」。どう見てもタマゴを使っているようにしか見えませんが…そのお味は…

記者 安松裕一
「食感も味もタマゴにしか思えません。一体どんな食材で再現しているんでしょうか?」

カフェうぇるびー ヴィーガンプロデューサー 福井勇吉さん
「普段こちらに来ないと種を明かすことはしないのですが…黄色いものはカボチャを使っています。白身をイメージしているのは豆腐を使っています」

店主の福井勇吉さん58歳、和食料理人歴45年のベテランですが、8年前、奥さんの病気をきっかけにヴィーガンの道へ進みました。

しかし、ヴィーガン料理を作り始め福井さんが感じたのは、どれも「味があっさりし過ぎている」こと。
そこで、料理にうまみとコクを与える調味料を開発、その調味料をベースに様々な料理を考案しました。

健康意識の高まりでカフェには多くの客が訪れますが福井さんにはまだ大きな目標があります。

カフェうぇるびー ヴィーガンプロデューサー 福井勇吉さん
「多くの観光客が来られる中の外国人の中でヴィーガン、ベジタリアンは非常に多くいらっしゃいます。まだまだ県内での(店舗数の)バランスからいうと大変少ないと思っています」

インバウンド客に対応できるようもっとヴィーガン食を扱う店を増やしたい。

ヴィーガンプロデューサーとしての顔も持つ福井さんは積極的に活動しています。

ここは鳥取市内の居酒屋。客がおいしそうに食べていたのは…

豆乳チーズのもちピザに大豆ミートのカルビ焼きなどずらりならんだヴィーガン料理の数々です。


「豆腐のグラタン、いいですね。豆腐が本当なんぼでも食べられるって感じ」

山陰両県を中心に全国におよそ20店を展開する「炉端かば」。
今回、福井さんがプロデュースし、中国地方では初となる居酒屋メニューのヴィーガンコースの提供を始めました。

炉端かば 鳥取エリア部長 大家達哉さん
「(ヴィーガン料理の取り扱いがなく)入店していただけなかった過去があります。海外のお客様がヴィーガン料理を求めていることが多いと感じ、取り扱うきっかけとなりました」

居酒屋の定番、唐揚げや焼き鳥には大豆ミートを使用。そのほか、野菜やキノコ、豆腐などを上手に使い、ボリューム満点のコース料理が出来上がりました。

カフェうぇるびー ヴィーガンプロデューサー 福井勇吉さん
「とってもいいものが出来たと思います。1,2品何かギョウザを出す唐揚げを出すというのはどこでも出来るが、それをコースで組み立てるという創意工夫をするのにはノウハウが必要になる」

このコース料理は当面、鳥取市内の2店舗で提供されますが、今後、扱い店舗を増やしていく予定だということです。

せっかくの鳥取観光で「何も食べるものがなかった」とは言わせたくない。福井さんの活動はこれからも続きます。

カフェうぇるびー ヴィーガンプロデューサー 福井勇吉さん
「全国的にもヴィーガン食、ベジタリアン食を食べられる店は希少です。それを鳥取市で日本一どこに行ってもヴィーガン食、ベジタリアン食が食べられる店舗というのをこれから作っていくために頑張っていきたいと思います」

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