慰安婦制度は人権侵害 歴史や問題点について講演

 旧日本軍による慰安婦問題を考える講演会が25日、横浜市中区の波止場会館で開かれた。元参院議員で、「慰安婦」問題&ジェンダー平等ゼミナール代表の吉川春子さんが歴史的経緯や慰安婦制度が生まれた背景などを解説。女性への重大な人権侵害であり、現在も多発する女性に対する暴力を防ぐためにも、慰安婦問題に向き合うことの大切さを訴えた。日本コリア協会かながわ県連の主催。

 吉川さんは、多くの日本人が慰安婦の存在を知っていたが、元慰安婦の韓国人女性が名乗り出た1990年代まで大きな問題にならず、「女性の尊厳を引き裂く人権侵害だという認識が国連を中心に欧米やアジア諸国で定着するまでに数十年の時間がかかった」と説明。一方、「日本ではいまだに、人権侵害だという国際世論に歯向かう権力者がいて、国民もその影響を受けている」と問題視した。

 また、日本人慰安婦についても言及。家父長制の下、貧困から遊郭で働くようになった多くの女性が慰安婦になったと指摘。韓国などと異なり、元慰安婦の日本人女性が名乗り出ることができない現状を踏まえ、「慰安婦問題は女性の人権問題だと明らかにしない限り、DV(ドメスティックバイオレンス)やセクハラなどが女性に対する人権侵害だということにつながらない」と訴えた。

 

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