「あなたに届け」 Swimyが愛と孤独テーマの新作を発売

 男女4人組バンド「Swimy」は、混声トリプルボーカルグループ。ライブでは、1曲の中でドラムもギターもベースも歌う。飛び出す絵本のように目まぐるしく、見る人をぐいぐいとステージに引き込んでいく。

 最新ミニアルバム「おひとりさま」(発売中)のテーマは「愛と孤独」。あなたひとりに届くようにと願い生まれた言葉は、「悩んでいた自分自身に向けて書いたもの」とボーカル、ギターのTakumiは語る。

 「友だちにも打ち明けられず孤独だった時、支えになったのは音楽だった。音楽を聴いて救われた過去の自分を励ます気持ちで書いた」と振り返る。

 「僕らの音楽に触れている間は、現実を忘れる瞬間に」と生み出すのは、日常とは違う異空間。「音楽を視覚でも表現したい」とこだわり、最新作に収めた「御一人様」のミュージックビデオ(MV)では、特殊メークにも挑戦した。

 「『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』などを手がけたティム・バートンの世界観が好き。ちょっとおどろおどろしい映像を楽しんでほしい」とTakumi。

 MVではレストランを舞台に、食事中に獣に変身してしまう様子を追いかけている。ドラム・ボーカルの、みっけは、「ファンタジーな衣装を着てみたいと思っていたので、作り込んだ衣装や髪形も見どころのひとつ」とPR。ライブで楽しめるようにと、初めて取り入れたダンスにも注目だ。◆ 滋賀県内の高校の軽音楽部でTakumiと、ベース・ボーカルの平成のまおが出会い、Swimyの原型となるバンドを結成。脱退・加入を経て、大学生時代にいまの形になった。

 地元のライブハウスを中心に活動し、京都、そして東京へと活躍の場を広げ、ことし3月に、小田和正らが所属する音楽会社から、シングル「あっちむいて」でデビュー。人気アニメ「銀魂。」のエンディングに同曲が起用されたこともあり、耳の早い音楽ファンから注目されている。

 「Swimy」の名は、小学校の時に国語の教科書に載っていた、オランダ出身の絵本作家レオ・レオニ作の「スイミー」が由来。兄弟と色が違う小魚スイミーが、その個性を生かして生き抜いていくお話しと、自分たちを重ね、「トリプルボーカルなど、他とは違う自分たちらしさを強みにしたい」と意気込んでいる。

 デビューのため、昨年8月に上京し、現在は4人暮らし。平成のまおは、「お金がなくてメンバーが激やせしたり、大変な時期もあったけれど、音楽に没頭できる時間が幸せ」と充実しているよう。

 ロボットの設定という、ギター・コーラスのタイキロイドは「ショウライハ(将来は)、モリトカ(森とか)、ゼンレイガナイバショデ(前例がない場所で)、ライブヲシタイ(ライブをしたい)」と野望を語っていた。

 インディーズ時代、関西圏を飛び出して、最初にライブを行ったのは、厚木のライブハウスだった。Takumiは「(県内出身の)いきものがかりのポスターが貼ってあるのを見て、プロへの道が開けたような気がしてうれしかった」と懐かしそうに語った。ライブで訪れた際は中華街に出向くなど、県内の観光スポットも足を運ぶそう。

 7月24日の午後4時から、CDやDVDなどを扱う「タワーレコード川崎」(川崎市)でインストアイベントを行うことも決定。「ぜひ遊びに来て」と呼びかけた。

© 株式会社神奈川新聞社