浦賀と仏軍、交流史に光 軍人遺族来日し写真展も

 造船の街、横須賀・浦賀に1950年代、艦船修理のため滞在したフランス海軍との交流史を掘り起こす動きが、地域住民らの間で広がっている。元仏軍人の遺族の来日に合わせ、7月下旬に当時の写真などを展示するイベントを企画。関係者は「展示を通じて新たな出会いや発見があるはず」と交流の広がりに期待を寄せている。

 開催のきっかけは、亡き父の思い出の地「Uraga」をたどるフランス人男性の一人旅だった。クリストフ・レジェさん(55)は昨夏訪れた浦賀コミュニティセンター別館で、イベント準備をしていた赤堀愛子さん(32)と偶然出会い、帰国後もSNSで交流を続ける。

 レジェさんの亡父は軍人として、仏艦船「シュヴルイユ」に乗船。修理のため寄港した浦賀に1951年11月から52年7月まで滞在したという。住友重機械工業横須賀造船所が発行した「浦賀・追浜百年の航跡」には、同造船所が仏海軍の修理工場に指定され、51〜56年に29隻を修理した記録も残る。

 当時、多数の仏海軍人が浦賀に滞在していたことは、レジェさんの父が残した約270枚の写真からもうかがえる。港周辺の風景だけでなく、造船所従業員と柔道を楽しむ姿などが収められていた。

 赤堀さんは「浦賀の人がフランス人に好意を持っていたことが伝わる。写真から地域の歴史を学ぶことも多い」と話す。

 赤堀さんから話を聞いた浦賀商友会の吉岡治樹会長ら住民有志は、貴重な地域史に光を当てようと写真展を企画。半世紀以上前のいきさつを知る高齢者らを訪ね歩いたところ、写真に本人や家族が写っていたという住民も見つかった。

 写真展は7月22〜29日、同市東浦賀1丁目の宮政商店の敷地内で開催。午前11時〜午後6時。赤堀さんは「当時の写真がある人は、ぜひ会場に持ち寄ってほしい」と呼び掛けている。問い合わせは、吉岡会長電話080(1704)9950。

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