「前回上回る」「白けた雰囲気」 大混戦で投票率どうなる

 参院選は10日の投開票日が目前に迫った。選挙権年齢が引き下げられ、18、19歳が新たに有権者として1票を投じる初めての国政選挙。当選圏を巡り大混戦の様相を呈する神奈川選挙区の各陣営も注視する投票率の行方は、いかに−。

 神奈川新聞社が実施した世論調査では、今回の参院選に「関心がある」と答えたのは74・9%で、3年前の前回より約3ポイント低下した。一方で、県選挙管理委員会によると、期日前投票は3日現在、前回比34%増となっている。

 神奈川選挙区に立候補している各陣営の思いはさまざまだ。ある陣営は“期待”も込めて前回の54・5%を「上回るのは確実」とみる。「憲法問題が争点になっており、『与党と補完勢力対野党と市民』の構図がはっきりすれば、有権者の関心はさらに増すだろう」 一方で、別の陣営は「明確な争点がなく、全体の雰囲気は白けている」とし、過去最低を記録した1995年(40・9%)以来の「50%を切ってしまうのでは」と懸念する。「政治とカネ」を巡る前知事の任期途中の退場で、降って湧いた都知事選の候補者選びに「話題をさらわれ、参院選が盛り上がらない」と指摘する陣営もある。

 専門家はどうみるのか。東北大大学院の河村和徳准教授(政治意識論)は「争点とされるアベノミクスの是非も憲法改正も、多くの有権者にとって暮らしに直結する身近な課題として認知されていない」と分析。自民党1強や第三極勢力の凋落(ちょうらく)といった政治状況も、投票率の動向を左右する無党派層らの「関心をそいでいる」と指摘し、全国平均では前回を下回るとみる。

 有権者に自覚を促す声も上がる。過去の政権交代の立役者となった生活の党の小沢一郎共同代表は7日、川崎市での街頭演説で「国民が主権を行使するのは選挙しかない。選挙に行かず、棄権する人たちに、その後の政治に文句を言う資格はない」と語気を強め、1票を投じる大切さを訴えた。

 横浜地方気象台によると、10日の県内の天気予報(8日現在)は「曇り時々晴れ」。最高気温は32度で真夏日が見込まれる。各投票所も有権者の政治参加で熱気に包まれるのか、それとも…。

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