品質と鮮度が人気 綾瀬、トウモロコシの収穫が最盛期

 綾瀬市産トウモロコシの収穫が、最盛期を迎えている。夜明け前にみずみずしい状態でもぎ取り、県内や周辺地域ならその日のうちに店頭に並ぶ「菜速(さいそく)」を掲げて売り出す。一大産地の北海道にも出荷を始め、本場にも劣らない品質と鮮度が人気だ。

 未明の畑にヘッドライトの明かりがともる。農家は手元もおぼつかない暗がりで、収穫の適期を見極める。「日中は水分が抜けて味が落ちる。全体が潤った夜明け前がもぎどきです」。JAさがみ綾瀬市トウモロコシ部会長(48)が説明した。

 品種は「ゴールドラッシュ」。部会長によると、甘みと実の柔らかさのバランスのよさが自慢だ。農家は1974年に部会をつくり、2011年から「朝採り」として売り出して販路を広げた。都心に近いメリットを積極的に生かそうとしたところ、「菜速」に結びついた。

 市場で競りにかけず、出荷場からそのまま小売店や百貨店に納品する仕組みが、鮮度を保つ秘訣(ひけつ)だ。市内で盛んな畜産の堆肥を活用することで、甘みを引き立てているという。

 収穫期は6月中旬から1カ月ほど。JAさがみによると、北海道の収穫期は8月以降で、いち早く店頭で取り扱いたい小売店から注文が集まり、15年に出荷を始めた。もともとレタスの取引で広げた販路を活用している。

 生産者は9戸で、15年の出荷量は85トン。部会長は「毎年同じ取り組みをしていては農家は生き残れない」と話す。今夏は相鉄線横浜駅に「朝採り」をPRするポスターを張り出したほか、綾瀬市役所で販売促進会を開き、新しい試みにも挑戦している。

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