平塚江南、1年生好投で古豪に勝利 高校野球神奈川大会第6日

 第98回全国高校野球選手権神奈川大会第6日は17日、サーティーフォー保土ケ谷球場など10会場で21試合を行った。

 平塚江南は、四回から救援した1年生の右腕富田歩が九回まで無失点に抑える好投を見せ、第3シードの武相に2−1で競り勝った。昨夏8強の山手学院は、三、五回に集中打で挙げた7点を2投手の継投で守り切り、第3シードの弥栄を7−6で破った。

 百合丘は延長十三回2死二塁から佐保田晃樹(2年)が右前打を放ち、6−5で磯子工にサヨナラ勝ち。神奈川工も延長十一回の熱戦の末、白山を3−2のサヨナラで下した。

 第1シードの横浜は、公家響(3年)、村田雄大(同)の本塁打などで向の岡工に8−0で大勝。第2シードの桐蔭学園、横浜隼人も勝ち進んだ。

 第7日は18日、横浜スタジアムなど10会場で20試合を行う。◆平塚江南 古豪を逆転 リードはわずか1点、七回1死満塁のピンチだった。四回から登板し、1年生ながらここまで打者をねじ伏せてきた平塚江南の富田の内角直球は捉えられた。

 強烈なライナーが一、二塁間を襲ったが、二塁栗原は諦めない。横っ飛びしてノーバウンドでつかみ、一塁へ送って併殺に。好捕の3年生は「富田が頑張っていたから」とはにかんだ。

 このピンチを救ってもらった右腕が意気に感じないわけがない。八回は2番から始まる好打順にもかかわらず、八、九回を三者凡退。最後まで腕は振れていた。

 相手は第3シードの武相。それでも、平塚江南には戦える自信があったという。「あいつが来てからチームはパワーアップした」。主将服部が目を向けたのはやはり、6回無失点と好投し、初戦でも4失点で完投した背番号19だった。

 今春、新入部員が練習に合流した初日。監督、ナインが「ものが違う」と確信した1年生投手の登場はチームを変えた。練習に一層の熱を上げて取り組み、打撃練習では富田の生きたボールを振り込んだ。守備陣も支えられるようにと自主的にノックを受けた。

 富田ら投手陣の躍動に勝負強い打撃、さらには2戦連続無失策の堅い守備。投攻守で高め合う平塚江南の風は続くか。3回戦だけでなく、過去最高の4回戦突破をにらみ、1年生は「ここまで来た。最低でも並ばないと」とマウンド同様不敵に言った。◆4年ぶり初戦敗退 武相は4年ぶりに初戦敗退。うなだれるナインを見つめ、就任2年目の西原監督は「相手もいい投手だった。でも、打てなければ上には上がれない」と言葉を絞り出した。

 土井−宮下のリレーで2失点に抑えたが、肝心の打線が相手を打ちあぐねた。1点を追う七回は代走と2人の代打を送り出し、1死満塁の絶好機をつくったが佐藤が二直併殺。ツキにも見放された。

 前任の酒田南(山形)を春夏合わせて10度の甲子園に導いている指揮官は「厳しい神奈川でまた一つ勉強させてもらった。新チームを一から鍛えたい」と再起を誓った。

© 株式会社神奈川新聞社