祖母と母殺害 少年院送致に 横浜家裁が決定

 横浜市戸塚区の自宅で祖母と母親を殺害したとして殺人罪に問われ、横浜地裁の裁判員裁判で家裁に移送された少年(16)について、横浜家裁は20日、「刑罰ではなく矯正教育を受けさせることが相当」とし、第1種(初等・中等)少年院送致とする保護処分を決定した。

 河原俊也裁判長は、少年の行為を「強固な殺意に基づき残忍で極めて悪質」と指摘。家裁調査官らがあらためて調査し、事件の背景には「成育歴や家庭環境に由来する情緒的発達とコミュニケーション能力の未熟さがあった」と認定した。

 その上で、「保護的な生活環境で、対人関係の構築や共感性を育成する働きかけを行っていくことが必要」と判断。更生を図るには少年刑務所よりも少年院が効果的とする一方、円滑な社会復帰には「相当長期間の収容が必要」とした。

 決定によると、少年は高校1年で15歳だった昨年5月、当時81歳の祖母と50歳の母親を包丁で刺し、失血死させた。家裁は同年8月、「刑事処分が相当」として逆送、横浜地検が起訴したが、地裁は今年6月に家裁への移送を決定。裁判員裁判で殺人罪での家裁への移送決定は全国初とみられる。

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