「鉄道美術館」展始まる 岡本太郎美術館

◆鉄博資料や巨大ジオラマも 鉄道の魅力をアートで知ってもらう「鉄道美術館」展が、神奈川県川崎市多摩区枡形の市岡本太郎美術館で始まった。国鉄民営化の記念公式メダル「出発」のデザインなど、太郎が鉄道に関連した作品を生んでいることから企画されたが、鉄道博物館(さいたま市)から鉄道模型や特急のヘッドマークなど128点という「大量の資料の1館への貸し出しは初めて」(大信田尚樹・同博物館長)で、鉄道ファンにも話題となりそうだ。10月10日まで。

 太郎は、山陽新幹線開通の岡山駅に壁画「躍進」、国鉄神田駅にタイル画を作るなどした。会場には、これらの作品と若手の現代アーティストとのコラボレーションで、美術作品の「巨大ジオラマ」が作られた。

 空中都市や地下鉄、マンションなどをテーマにした造形物が並び、電灯をつけたミニ電車が走り、影がつくる不思議な空間が醸し出されている。「キーワードは『つながる』。人や街をつなぐのが鉄道。それと同じように作品が影や線路でつながるようにした」と大杉浩司学芸員。

 鉄道を描いた歌川広重の浮世絵や長谷川利行の油彩、全国を駆け巡るSLなど列車の雄姿を映し出す佐々倉実さんの映像など多彩な計約180点で、鉄道の魅力を紹介している。

 夏休みに大人から子どもまでが楽しめるようイベントも開催。鉄道模型操作体験会(24日)やミニ南武線乗車体験(8月20・21日)、石炭で走るミニSL乗車体験(9月25日、100円)など。同館は「鉄道の魅力とともに、普段、美術館に来ないような人にも訪れてもらい、岡本太郎の魅力を知ってもらえれば」と期待している。

 月曜休館。入場料は一般千円、高・大学生・65歳以上800円、中学生以下無料。問い合わせは、同美術館電話044(900)9898。

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