生き物の楽園・天神島 研究成果を披露

 三浦半島西岸から相模湾に突き出し、多種多様な生き物がすむ天神島に設けられている臨海自然教育園(横須賀市佐島)が、開園50周年を迎えた。周辺海域を含めて県の天然記念物として保護され、自然観察や調査研究の拠点となっている。同園を運営する市自然・人文博物館(同市深田台)では研究成果を披露する特別展が開かれている。

 天神島と近くにある岩礁の笠島、さらに両島の周辺水域を合わせた計約54万平方メートルは1965年、県の天然記念物に指定。生き物の採取、船舶使用、笠島への上陸などは禁止されている(漁業関係者は除く)。こうした保護策を現場で実践するため翌66年4月、同園が開園した。

 海洋生物が専門の同博物館学芸員萩原清司さんは、保護策の結果を評価。「海中から海岸林までひとつながりの昔ながらの生態系が残された。浅瀬が広がり生き物の種類は極めて多い。島だけでなく周辺海域まで天然記念物となっている地域は全国でもそう多くはない」と話す。

 学芸員らの研究も進められた。現地調査で海岸の動物だけでも、岩場や砂浜などにすむ約250種の魚類、ウミウシ類など約200種の軟体動物、エビ、カニなど約100種の甲殻類、ヒトデなど約40種の棘皮(きょくひ)動物が確認され、多くの論文が世に出た。

 同博物館の特別展「天神島大冒険−海とともにくらす生き物たちの楽園」は9月25日まで。天神島では月1回のガイドツアーも行われている。問い合わせは、同博物館電話046(824)3688。

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