
鶴岡市藤島地域の大地神社(高橋政浩宮司)に200年以上前から伝わる「大谷獅子舞(おおやししまい)」が、8月15日の例大祭で7年ぶりに奉納される。若者の強い意志と結束がなければ奉納できないとされ、前回の踊り手たちから「今踊らなければ消滅してしまう」という声が上がり、若者たちに呼びかけ実現したという。十数人の男性が連日連夜、練習に汗を流している。
大谷獅子舞は隣り合う大川渡、谷地興屋(やちこうや)の両集落が共同で伝承し、1805(文化2)年に奉納された記録が残る。5頭の獅子が悪虫や悪病を払い、五穀豊穰(ほうじょう)などを願う踊りとして大谷獅子舞保存会(成沢秀介会長)が中心となり継承する。獅子舞の幕には旧庄内藩主酒井家の家紋かたばみ紋が施されているが、1888(明治21)年に同市の荘内神社で奉納した際に旧藤島町で唯一家紋の使用が許され、合わせてやり2本を与えられたと伝わる。
大地神社に厳重に保管している獅子頭を取り出し、8月3日に精霊を吹き込む「精(しょう)入れ」の儀式をした後は、途中でやめたり失敗したりすることは許されないしきたりがあり、若者たちの強い覚悟がなければ奉納がかなわないとされる。過去20年間で奉納されたのはわずか5回。直近は2018年で、当時踊った若者たちが声を上げ、今年の奉納が実現する運びとなった。
獅子を操る「踊子(おどりこ)」には今回、交代要員を含む18~48歳の10人がそろった。このほか「棒使い」「槍(やり)使い」などの役割があり、最年少の藤島小6年成沢真央さん(11)は刀を振る「太刀使い」を務める。前回太刀使いとして参加し、今年は踊子に初挑戦する池田夢叶(ゆめと)さん(18)は「念願の踊子ができるのは光栄。後生にも伝えなければならない」と語る。同じく踊子の父・慶二さん(45)は「担い手になってくれてうれしい。自分も負けていられない」と気を引き締めた。
当日は午前と夜の2回、四つある演目のうち「大踊り」を1時間ほど披露する。成沢会長(69)は「子どもが年々減少し、獅子舞の継続が難しくなる中、伝承が途絶えないよう若者たちが強い思いで立ち上がってくれて喜ばしい」と話している。