慶応、完成度に磨き 高校野球神奈川大会第16日

 第98回全国高校野球選手権神奈川大会第16日は30日、横浜スタジアムで準決勝2試合を行い、慶応は桐蔭学園に10−5で快勝、横浜は桐光学園を8−4で下した。慶応は8年ぶり、横浜は2年連続の決勝進出。

 慶応は2−2の三回に正木智也(2年)のソロ本塁打で勝ち越すと、四回には矢澤慶大(2年)の2点適時二塁打で突き放した。

 横浜は二回に福永奨(2年)のソロ本塁打で追い付くと、三回に2点を奪って勝ち越し、六回には村田雄大(3年)の2点本塁打も飛び出して圧倒した。横浜はこの試合で2本塁打を放って通算12本塁打とし、大会通算チーム最多本塁打記録を更新した。

 決勝は31日午後1時、同スタジアムで行われる。慶応は8年ぶり5度目、東京代表時代を含めると18度目、横浜は3年ぶり16度目の選手権大会出場を目指す。◆矢澤、多才さ発揮 3−2の四回2死一、三塁。「同じ球がまた来る」。慶応の矢澤は前の打席で力ない二直に仕留められた内角の直球が残像として残っていた。

 初球。読み通りのボールにバットは迷いなく出た。左翼フェンス直撃の走者一掃の二塁打。1点を返された直後の六回にも、外角低めの直球を豪快に引っ張る二塁打で2点をたたき出した。一回には犠打を決めて先制点をお膳立て。つなぎ役、得点源と2番打者は一人で何役もこなした。

 169センチ、63キロの小柄な2年生は、夏の日差しに大きく映えている。

 準々決勝の東海大相模戦は右のエース北村から3ラン。堅実な守備を買われてレギュラー入りした背番号4は「あれで感覚をつかめた」と自信を深め、「正木に比べたらレベルが違います」という11打点の主砲に次ぐ10打点を稼いでいる。

 兄2人は地元愛知の強豪校に進学。長兄は甲子園にも出場したが、文武両道と自立のために慶応への道を進んできたという。名は慶大(よしひろ)。慶大時代の巨人・高橋由伸監督のファンという父親に名付けられ、その出身校の桐蔭学園に立ちはだかるのも何かの縁か。

 「次も目の前の一戦、一打席に集中する」。激戦区の神奈川にあえて身を投じ、乗りに乗っている2年生が目標へあと一つに迫った。

© 株式会社神奈川新聞社