「震災終わらず」痛感 専大生が調査、リポート紹介

 東日本大震災や阪神大震災の記憶を風化させまいと、専修大学の学生による現状を調査したリポートの展示「『東日本』と『阪神』〜大学生が歩いた被災地の記憶」が、川崎市多摩区の同大サテライトキャンパスで開かれている。被災地の葬祭業者や住民らの証言を紹介。学生らは「現地ではまだ課題を抱え震災は続いている。現状を多くの人に知ってほしい」と話している。7日まで。

 人間科学部の嶋根克己教授のゼミ生ら延べ150人以上が調査。東日本の被災地を4年間、阪神の被災地を10年間、訪れている。

 宮城県気仙沼市などで、津波被害の遺体を扱った葬祭業者から聞き取りした4年の川井梨央さん(21)は「昼夜を問わず火葬の依頼が来るのが怖かったと聞いた。火葬できた遺族が『いかったね』と言われて肩身が狭くなるほど、身元確認できない人が多かったという現実を知った」という。

 神戸市長田区を調査した4年の畑中建祐さん(22)は「もともと長屋住まいの人が多かったが、区画整理で居住環境が一変。震災前からの住民は3割で、近所づきあいの希薄な新住民とのコミュニティーに課題があり、震災が続いていることを実感した」という。自身は東京電力福島第1原発事故で被災した福島県双葉町の出身で、「阪神大震災の記憶はないのだが、やはり忘れられてはいけないのだと思った」という。

 6日には会場で「東日本大震災の記録とこれからの防災・減災」と題して講演会を開催。学生らが調査について説明するほか、気仙沼市職員で被災者でもある菊田隆二さんを迎えて防災などについて考える。入場無料。問い合わせは、同キャンパス電話044(922)0992。

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