東部方面線開業遅れ 用地取得が難航

 相模鉄道とJR、東急電鉄が相互直通運転を行う神奈川東部方面線の開業時期について、整備主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(横浜市中区)などは26日、相鉄・JR直通線が現行計画の2018年度内から19年度下期に、相鉄・東急直通線が同じく19年4月から22年度下期にずれ込む、と発表した。同方面線事業の計画変更は2回目。

 同機構などによると、相鉄・JR直通線については用地取得が難航。さらに安全対策設備の検討に時間を要したといい、相鉄・東急直通線については用地取得の難航に加え、想定よりも地盤が軟弱で補助工事が必要になったという。

 建設費も現行計画の2739億円から4022億円に増加する見通し。建設物価の高騰や法改正による汚染土壌の処理費用増加、法律の制定による可動式ホームドアの設置費用に加え、消費税率が当初の5%から8%に引き上がり、さらに10%を予定していることや、地質調査結果を踏まえた工法変更などが要因という。

 同日の会見では、機構が「徹底したコスト縮減を図り、一日も早い開業を目指す」と説明。営業主体の東急電鉄は「整備効果を最大限引き出せるよう万全の準備を行っていく」、相模鉄道は「一日も早く開業できるよう努力する」とした。

 また、相鉄・東急直通線の開業が20年の東京五輪に間に合わない点については、「新横浜の日産スタジアムがサッカー会場になるが、既存路線でも十分対応できる。影響は大きくないのではないか」(東急)、「五輪後の開業でも利便性向上には寄与できる」(相鉄)との考えを示した。

 横浜市の林文子市長は「大変残念。徹底したコスト縮減と一日も早い開業に向けた最大限の努力を求める。市としてもにぎわいを生み出していけるよう沿線の町づくりを着実に推進していく」、黒岩祐治知事は「鉄道・運輸機構に詳細な説明を求め、変更内容をしっかり精査していく」とコメントした。

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