生活マナー絵記号で 大京、マンション維持管理に活用

 マンション大手の大京(東京都渋谷区)は、物件の廊下やホールなどの共用部の維持管理を目的に、ピクトグラムと呼ばれる絵記号を9月中にも導入する。内外に注意事項などを呼び掛けるもので、同社オリジナルのデザインを考案。研修で同社を訪れた横浜市の小中学校教員のアイデアも一部採用する方針だ。

 同社によると、住民ニーズが高いのは「広告・チラシ投函(とうかん)禁止」「無断駐車禁止」「(ごみ集積場の扉などの)開放禁止」「ここで遊ばないでください」といった内容。文字の読み書きが困難な幼児や近年増加傾向にある外国人居住者らにも一目で分かる案内板の作製を求める要望が高まっていたという。生活マナーを広く呼び掛ける手段として、視覚的効果が高く情報のユニバーサルデザインの要素を持ったピクトグラムに管理組合が着目した。

 掲出するピクトグラムは、同社の既存の物件から順次展開する予定。すでに横浜市内の2物件や東京、埼玉の一部地域で試験的に掲出を始めており、エントランス前の駐輪禁止を呼び掛ける絵記号を掲示した途端に効果が表れた事例もあるという。

 マンション管理を手掛ける同社子会社の担当者がデザインを練っていた8月上旬、研修で同社を訪れた横浜市の小中学校教員8人にピクトグラムを作るワークショップを実施。そこから大きなヒントを得たという。

 たとえば「廊下を走るな」という絵記号案は、走る子どもの背景に曲がり角を描き、衝突の危険性を示したデザイン。「『大勢を対象に物事を分かりやすく伝えるには?』という悩みは、先生たちと管理組合担当者の共通の悩み。教員の案にはデザインの考え方のヒントが詰まっている」と同社。今後、図案の一部を採用する方針だ。

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