院内相次ぐトラブル 点滴異物で患者死亡

 横浜市神奈川区大口通の「大口病院」で、入院患者の男性(88)が中毒死した事件。同病院で今春以降、看護師の制服が切り裂かれたり、看護師の飲み物に異物が混入したりするなどのトラブルが相次いでいたことが23日、捜査関係者への取材で分かった。異変は殺人事件が起きた4階フロアを中心に発生しており、県警特別捜査本部は事件との関連を調べている。

 捜査関係者らによると、春ごろナースステーションに掛けてあった複数枚のナース服が鋭利な刃物のようなもので切り裂かれているのが見つかった。夏ごろには院内で飲み物を口にした看護師が「変な味がする」と異物の混入を感じ取った。他にも、カルテがなくなったり、箱に多数の針が刺されたりしているのが見つかったりしており、そのほとんどが4階ナースステーションで起きていたという。

 事件が明らかになった23日夜、大口病院に出入りする人の姿はほとんどなく、一部病室の照明が点灯してひっそりと静まり返っていた。

 「病院からは何の説明もない。何があったのか知りたい」。90代の母親が入院している同市都筑区の50代の主婦は不安そうに漏らした。患者が死亡した翌日に4階の母親の病室を見舞いに訪れると、大勢の警察官が同じフロアの廊下に集まり、足跡や指紋を調べていた。同じ日の夕方にはエレベーターホールに「面会謝絶」の張り紙が貼られ、何があったのか看護師に尋ねたが「すみません」「分かりません」としか伝えられなかったという。「転院も含めてこれからのことは何も考えられない。せめて何があったのかを知りたい」 病院の警備員の男性は「広報担当者から『きょうはマスコミ対応は一切しない』と伝えるように言われている。自分は何も分からない」と言葉少なだった。

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