救え「買い物弱者」 横須賀で移動スーパー事業

 自宅周辺に食料品店がなく、日々の買い物に不便を感じている「買い物弱者」を支援しようと、一般社団法人「リンクセクタ」(横須賀市大矢部)が移動スーパー事業に取り組んでいる。高齢化が進み、坂が多い地域性もあってニーズは高く、利用者から好評だ。自宅に直接訪問することで見守り活動も兼ねており、今後は三浦半島で展開地域の拡大を目指している。

  同法人は行政や企業、個人をマッチングさせることでさまざまな地域課題の解決を図ろうと、地元企業などの有志4人が7月に立ち上げた。活動の第一歩として、高齢化や商店街の衰退で全国的に問題となっている買い物弱者に着目した。

 横須賀市都市政策研究所の2015年度の研究報告によると、自宅から食料品店までの距離が500メートル以上離れている地域に暮らす市民は7万4226人、うち65歳以上は1万9389人に上る。

 移動スーパー事業は、同法人専務理事の及川浩一さん(42)が市内で経営するスーパー「サイドキッチン オックス」が、同事業を全国展開する「移動スーパー とくし丸」(徳島県)と提携して実現。とくし丸の軽トラックがオックスの生鮮食品や生活用品など約300品を積んで、希望者の自宅を週2回、巡回販売している。

 9月に開始し、現在は町内会から要望があった同市若宮台と同市光風台の2地域で行い、登録家庭は計約80戸。新たな地域でも近く実施予定で、及川さんは「軒下まで行くのが基本。見守り活動も兼ねており、地域とコミュニケーションを取りながら課題解決に貢献したい」と話している。

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