若者文化を発信 カワサキハロウィン20年

 国内最大級のハロウィーン・イベント「カワサキハロウィン」が今年で20回の節目を迎える。火付け役となった地元企業「チッタエンタテイメント」(川崎市川崎区)の取締役で、初回から制作責任者を務める土岐一利さん(53)は「『若者文化の発信』というテーマを忘れず、川崎らしいハロウィーンを大事にしていきたい」と気持ちを新たにしている。

 イベントは1997年、チッタグループが運営する川崎駅東口の複合映画館「チネチッタ」の10周年記念企画として始まった。

 土岐さんが当時を振り返る。「都内や横浜に比べ、川崎は印象が薄かった。若者が思わず来たくなるような、斬新で面白いことがしたかった」 映画館が比較的すく秋に開催できるハロウィーンに着目。ホラー映画の上映、ライブホールでの仮装パーティーに加え、ドイツで人気の「テクノパレード」をモチーフにパレードを企画した。

 ところが人集めに苦労した。約20年前は「大人が昼間から仮装するなんて恥ずかしい」という声が多かったのだ。社員総出で仮装し、劇団員などにも声を掛け、約150人がクラブ音楽に合わせて商店街を踊り歩いた。インパクトのある企画は話題になり、翌年以降は右肩上がりに参加者が増えた。コースも延び、街ぐるみのイベントになった。

 特殊メークを施してゾンビに成りきったり、アニメのキャラクターやその年に活躍した著名人に扮(ふん)したり。「仮装のレベルが毎年勝手に上がっていく。独自の文化が発信される場になっている」。今年のパレードには、世界が注目する日本人女性のダンスユニットAyaBambiを招く。「ニッポンのハロウィン」がテーマのプロジェクションマッピングショーや、イタリアンホラー映画の金字塔「サスペリア」をバンドの生演奏とともに上映するイベントも用意している。

 土岐さんが言葉に力を込めた。「ハロウィーンを、ただの騒がしいものにしたくない。節度のある文化的なイベントとして、今後も川崎から発信していきたい」◇ 「カワサキハロウィン2016」の主なイベントは29、30の両日、川崎駅周辺で開かれる。商店街や市などでつくるプロジェクトの主催で、29日はキッズパレード、30日には約2500人が参加するメインの仮装パレードを行う。昨年に続き、今年も「スター・ウォーズ」シリーズの新作公開に合わせた企画がある。

 プロジェクションマッピングショーは両日の夜に3回ずつ、「ラ チッタデッラ」中央噴水広場で開催。イベント一覧はホームページに掲載中。問い合わせは、同プロジェクト電話044(233)1934。

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