皇族の世界華やかに 閑院宮家しのぶ調度品11月公開

 小田原に屋敷を構えた旧皇族の閑(かん)院(いんの)宮(みや)家の調度品や資料など約300点が11月1日から伊勢原市日向の日本料理店「日向天成園」で一般公開される。経営者の天野保さん(63)が20年ほど前、最後の当主・春(はる)仁(ひと)王の元秘書から譲り受けたという。華やかだった戦前の皇族の生活の一端が垣間見られる貴重な機会となりそうだ。

 天野さんが組合長を務めている市飲食店組合が来年、設立50年を迎えることを記念し、企画された。

 閑院宮家は明治から昭和にかけて、旧陸軍参謀総長だった載仁(ことひと)親王と、息子の春仁王の親子2代にわたって、小田原市内に住んだ。春仁王は敗戦で皇籍離脱。子どもがなく、1988年の死去後、家は断絶した。20年ほど前、天野さんは親交のあった春仁王の元秘書から約千点を譲り受けた。

 一般公開は今夏の南足柄市立郷土資料館に続き、2回目。宮家の所蔵していた絵画の目録や食器、写真などを展示している。載仁親王がロシアに出張した際、皇帝ニコライ2世から贈られた銀製の食器や、春仁王夫妻が北海道を旅行した際の写真帳も目を引く。

 天野さんは「伝え聞く春仁王は、穏やかな人柄で、自らお茶漬けを作ったりする庶民的な面もある方だった。皇族の生活の一端に触れてほしい」と話している。

 一般公開は11月27日まで毎日午前10時から午後3時まで。入場無料。問い合わせは、同店電話0463(92)2040。

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