試験養育中も育休OK 職員の特別養子縁組 横須賀市、先行導入

 横須賀市は、特別養子縁組を希望する市職員が、子どもを引き取る前の試験養育(監護)期間でも実子と同様に育児休業などを取得できる制度を導入した。同市は官民連携で新生児と養親を結び付ける取り組みを支援しており、国の法改正の動向を踏まえて独自に対象範囲の拡大を前倒しした形だ。市によると、県内自治体で監護期間に育休を認めるケースは横浜市に続き2例目。

 民法に基づく特別養子縁組は、保護者がいなかったり、虐待を受けていたりする原則6歳未満の乳幼児を夫婦で引き取り、法律上の親子となる制度。家裁が養親子関係を成立させるためには、あらかじめ子どもを6カ月以上監護する必要があると定めている。

 だが、縁組成立前は戸籍上の子として扱われないため、現行の地方公務員育児休業法では育休や育児短時間勤務の対象となっていない。人事院は8月、育休などの対象を拡充するよう勧告しており、国は来年1月の施行を目指して法改正案を国会に提出している。

 自治体側も今後、条例改正が必要となり、同市は法改正後速やかに条例改正する方針だが、市人事課は「市が積極的に取り組みを進める中で、戸籍重視の育休制度は真剣に縁組をするには相当にハードルが高いと考えていた」と説明、今月1日からの前倒しを決めた。

 新制度では、子どもが3歳に達する日までの1年未満を育休扱いとし、就学前までは1日2時間を限度として部分休業が可能になった。「特別な理由があれば、届け出た上で欠勤できる」とする職員の服務規定を根拠とし、育休の適用期間中、職員は無給となる。現時点では職員からの問い合わせなどはないという。

 市は昨年4月、民間の投資を行政のコスト削減につなげる「ソーシャル・インパクト・ボンド」と呼ばれる手法で、特に新生児の段階から養親を結び付ける特別養子縁組を支援。市児童相談所によると、これまでに1件を成立させ、4件が監護期間中という。

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