栄えある功績たたえ 神奈川文化賞・スポーツ賞

 神奈川の文化とスポーツの発展に功績のあった個人・団体に贈られる第65回神奈川文化賞・スポーツ賞(県、神奈川新聞社主催)の贈呈式が文化の日の3日、県民ホール(横浜市中区)で行われた。

 文化賞は全51巻の「大水滸伝」シリーズを完結させた作家の北方謙三さんら4人に贈られ、今後の活躍が期待される文化賞未来賞には「ダゲレオタイプ(銀板写真)」で核をテーマに撮影を続ける写真家の新井卓さんら2人が選ばれた。

 スポーツ賞には、全国高校総体(インターハイ)男子棒高跳びで日本高校記録を樹立した江島雅紀さんら3人1団体が輝いた。

 五輪イヤーの今年は、リオデジャネイロ五輪の体操男子団体総合優勝や種目別跳馬3位に輝いた白井健三さんら4人にオリンピック賞、パラリンピックの陸上男子400メートルリレー3位の多川知希さん、車いすラグビーで銅メダルを獲得した山口貴久さんにパラリンピック賞が贈呈された。

 賞は1952年に始まり、昨年までに文化賞は304人・20団体、オリンピック賞とパラリンピック賞を含むスポーツ賞は244人、118団体、2001年創設の未来賞は27人・2団体が受賞している。◆ひと言に深い味わい 第65回神奈川文化賞・スポーツ賞の贈呈式が3日に開催された。学術や芸術、スポーツの各分野で目覚ましい功績を残した受賞者の言葉はどれも味わい深く、たゆまず進んできた道を振り返りつつ、さらなる活躍や今後の夢を語った。

 壮大な歴史小説を手掛ける作家の北方謙三さんは「(小説で)伝えたいことはいろいろあるが、人は生きて、死んでいく。その死まで、懸命に生きようということです」と話した。

 甲子園で5度優勝などの偉業を成し遂げた横浜高校野球部前監督の渡辺元智さんは「今後も人を育てることの手伝いに積極的に関わっていきたい」と意気軒高に語った。

 ビデオメッセージを寄せたシンガーソングライターの小田和正さん。「立派な賞。思い当たる節はありませんが、選んでいただいた。時間はあまり残ってないが、役に立てるよう精進します」と伝え、会場の笑いを誘った。

 未来賞を受賞した写真家の新井卓さんは「核はグローバルな問題。僕は小さな存在だが、国を超えて活動ができれば」と熱い思いを述べた。

 全国高校総体男子棒高跳びで日本高校記録を樹立した江島雅紀さんは「バーを超えた瞬間は快感」と魅力を語り、「東京五輪でメダルを目指したい」と力強く話した。

 リオデジャネイロ五輪柔道男子60キロ級で銅メダルの高藤直寿さんは「オリンピックの時だけでなく、もっと柔道を見てください」と笑顔で呼び掛け、東京五輪でのさらなる飛躍を宣言した。

 パラリンピックの車いすラグビーで銅メダルを獲得した山口貴久さんは「競技への理解を進めてもらい、環境整備をしてほしい」と述べ、4年後の金メダル獲得を誓った。

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