「災害対策基本条例」制定求め 茅ケ崎の市民団体

 茅ケ崎市の市民団体が4日、「災害対策基本条例」の制定を求めて動きだした。広域避難場所に指定されている茅ケ崎ゴルフ倶楽部(同市菱沼海岸)の跡地開発を巡る反対運動が、全市的な防災の在り方に一石を投じる形に発展。市民団体は「将来にわたり安全な避難場所を確保したい」と独自の条例案をまとめ、市への直接請求を視野に1カ月間にわたる署名活動を展開する方針だ。

 直接請求に向けた手続きを始めたのは、「みどりと命を守る住民会議」(牧野武共同代表)。来年3月末で閉鎖予定のゴルフ場の跡地開発に絡み、「事業者の開発案では避難場所が十分に確保されず、市民の安全が守られない」と訴えてきた。

 同会議が作成した条例案は、市の「地域防災計画」の上位に位置付け、予防対策や応急対策を明記。その中で▽広域避難場所の指定に当たっては、安全面積について、広域避難場所指定地域に居住する市民1人当たり2平方メートル以上を確保する▽防災会議の委員には、公募による市民および事業者を含める−などとしている。

 同会議は今月中旬から1カ月間、署名活動を実施。有権者の50分の1の署名を集め、服部信明市長に条例制定を直接請求する考えだ。条例制定を求める理由について、同会議の山田秀砂さんは「計画では行政の都合で変えられてしまう可能性がある。法令として制定することで、震災時における住民の安全を担保できる」と強調している。

 災害対策基本法に基づく地域防災計画は自治体に策定が義務付けられているが、防災に関する条例は県内でも制定しているケースは限定的という。

 ゴルフ場の跡地利用を巡っては、東急電鉄・電通グループが10月に開発事業者から辞退し、開発案は白紙に戻されていた。

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