川崎の匠 光る技術 写真修整、バネ製造…マイスター5人認定

 川崎市は、市内最高峰の匠(たくみ)に贈る2016年度のかわさきマイスター5人を発表した。いずれも各分野で優れた技術を持ち、後継者や若手への指導にも熱心に取り組んでいる。福田紀彦市長は「皆さんの技が次世代のものづくりの発展に生かされることを期待したい」とたたえた。

 15人の応募の中から選考委員会の審査を経て認定されたのは、プラント設備仕上の井(いい)武敏さん(68)=川崎区、写真師の鈴木克明さん(72)=高津区、バネ製造の高橋信美さん(75)=東京都大田区、製缶板金技能の秦義光さん(71)=幸区、ケーブル接続技術の宮永典隆さん(69)=寒川町。

 井さんは工場や発電所などの大型機械設備の据え付けの際に仕上げ作業を行う技術者で、傾きなどの誤差を1ミリ以内に収める腕を持つ。鈴木さんは被写体の良さを引き出す写真修整技能を誇り、証明写真だけで年間4千人が訪れる写真館を経営している。

 高橋さんは指先一つでバネの形状を作り出せるバネ製造技術者。高精度の製品は航空産業の最新鋭機にも使われている。秦さんは溶接、板金、製缶の高い技術を持ち、東京電力やJRなどにも納品している。

 宮永さんは数ミクロン単位の精度を要する光ファイバー海底ケーブルの接続を洋上でこなし、日本で唯一の訓練校で講師を務めている。

 認定者は「若い人にものをつくる喜びを伝えたい」(秦さん)、「特殊な技能だが、次世代にしっかりつなげるのが私の役目」(宮永さん)と喜びの声を口にした。かわさきマイスター制度は1997年から始まり、今回までで計91人(計69職種)が選ばれた。

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