捜査書類と写真を抜き取る 神奈川県警が容疑の巡査部長を書類送検

 警察署内に保管されていた事件の捜査書類と写真を無断で抜き取ったなどとして、県警は18日、証拠隠滅と公用文書毀棄(きき)の疑いで、幸署地域1課の男性巡査部長(36)を書類送検し、戒告の懲戒処分にした。巡査部長は同日、依願退職した。

 書類送検容疑は、昨年5月と同8月24日ごろ、当時地域課員として勤務していた泉署内で、自身が捜査に関わった空き巣事件の被害品に関する書類12通と写真126枚を保管場所のキャビネットから無断で抜き取り、自身のロッカーに隠した、などとしている。

 県警監察官室によると、巡査部長は県警の調べに対し、「発見された遺留品が多く、書類の作成が面倒という気持ちが強くなり、裁断すれば事件がなかったことにできると思った」と説明。写真については「ケースから100枚ほど抜き取って薄くすることで、処理が進んでいるとごまかそうと思った」と話した。

 同室によると、空き巣事件は昨年2月に発生。写真が抜き取られた同5月以前に容疑者が逮捕され、捜査に支障はなかったとしている。今年3月、当時の地域課長が異動で引き継ぎを行った際、書類がないことに気付いた。書類や写真はすべて、巡査部長の自宅から見つかった。

 県警はまた、巡査部長の指導監督を徹底しなかったとして、当時地域課長だった男性警部(51)ら4人を本部長注意などの処分にした。

 同室の花家憲也室長は「警察の信用を損ねる行為であり、県民に心からおわびする」などとコメントした。

© 株式会社神奈川新聞社