競技団体の意向重要 市、都へ配慮求め文書 五輪バレー横浜開催

 2020年東京五輪・パラリンピックのバレーボール会場の見直しで、横浜市は1日、「横浜アリーナ」(港北区)の活用案について、「競技団体などの意向が一致していることが重要」などとする考えを文書で東京都などに提出していたことを明らかにした。

 文書は市市民局長名による「横浜市の考えについて」と題したA4判1枚で、11月25日付で都や大会組織委員会などに提出。東京大会の成功に向けて「最大限協力する」とした上で、「競技団体やIOC(国際オリンピック委員会)の意向が一致していることが重要」などとした。

 合わせて、横浜アリーナ周辺の民有地を活用する際の所有者への説明や、周辺道路封鎖時などの地域への説明についても、都や組織委で対応するよう配慮を求めた。

 市市民局は、11月中に行われた事務レベルでの意見交換や、IOCの横浜アリーナ視察に立ち会った際などに挙げられた課題について、「誤解がないように、市として感じていることをメモとして提出した。受け入れのために配慮していただきたい前提条件」と説明。IOC、国、都、組織委による4者会合でも資料として配布されたという。

 1日午後にはIOC関係者ら十数人が横浜アリーナを視察。ホテルなどの近隣施設や周辺道路も含め、図面などを広げながら確認して回った。◆仮設費用負担触れず 市が11月25日に都に文書を提出後、29日の4者会合で、バレーボール会場のみ結論が先送りされた。

 4者会合では、大会組織委員会の森喜朗会長から「『横浜は迷惑している』と聞いている」「横浜市は追加種目の野球の会場候補にも挙がって手いっぱい」などの発言もあり、市が提出した文書が影響した可能性もあるが、市市民局は「継続審議では、配慮を求めた部分についても議論してもらっていると考えている」と受け止める。

 競技団体の日本バレー協会と国際バレー連盟が、有明アリーナ新設案を強く主張する中、文書では「地元自治体として五輪後も引き続きバレーをはじめとする競技団体とスポーツ振興に取り組む責務がある」との立場を強調した。

 一方、文書では横浜アリーナで開催する場合に必要とされる客席やサブコートなどの仮設費用については触れなかった。同局では「五輪招致の段階で仮設の費用負担は組織委だったはず」と説明している。

 同局によると、29日から1日正午までに市に市内外から85件の意見が寄せられ、横浜アリーナ開催に対して「既存施設を有効活用すべき」「横浜開催が迷惑だと思わない」などの賛成意見が48件、「費用負担が整理されていない中で話を進めるべきではない」などの反対意見が28件、賛否とは別に「市は都の判断に従う必要はない」などの意見が9件だったという。

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