「洋楽=2」ボン・ジョヴィ『ディス・ハウス・イズ・ノット・フォー・セール』 もう一度ファンとロックに誠実に向き合う

ボン・ジョヴィ『ディス・ハウス・イズ・ノット・フォー・セール』

 この11月7日米ノース・カロライナで行われたヒラリー・クリントンの支援集会でレディー・ガガとジョン・ボン・ジョヴィが『リヴィン・オン・ア・プレイヤー』を歌いました。大統領選には負けたものの、ガラスの天井に挑む女性、そして移民たちの心を反映した2人の歌はまさにリベラルなアメリカ人のアンセムでした。

 “苦しい時でも誠実さと愛があれば切り抜けられる”という内容のこの曲はアメリカで最も好まれている曲の1つと言われています。

 デビュー以来30年を超える彼らのキャリアを支えたものもジョンのロックに対する愛情とファンに対する誠実さに他なりません。2014年にギターのリッチー・サンボラが脱退、15年にはCD不況が原因で在籍していたレコード会社との契約交渉が決裂するというバンド存続の危機に直面しながらもジョンが下した結論は再出発。“ここでストーリーが終わるわけじゃない。友よ、今は、ただの分岐点なんだ”と収録曲の『リユニオン』で歌っています。

 (ユニバーサル・2500円+税)=北澤孝

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