共生社会へ全力 相模原殺傷事件で追悼の集い

 相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で発生した殺傷事件の犠牲者19人を追悼する集いが20日、横浜市中区の市健康福祉総合センターで開かれた。障害当事者や支援者らが、悲劇が繰り返されないよう共生社会の実現に向けて力を尽くしていくことを誓った。

 やまゆり園を含む県内約370カ所の知的障害者施設で組織する「県知的障害施設団体連合会」の主催。県内の知的障害者施設で働く職員ら約150人が参加した。

 同連合会知的障害者当事者グループ代表の冨田祐さんは、メンバーから託された「亡くなった仲間の分まで協力して生きていく」というメッセージを紹介した上で、「あのような事件は二度と起こしてほしくない」とアピールした。

 県障害者団体連絡会事務局長で脳性まひ当事者の鈴木次郎さんは「神奈川はかつて福祉先進県と言われた。事件を機に神奈川らしい福祉とは何かをあらためて考え直す必要がある」と問題提起した。

 県手をつなぐ育成会会長の依田雍子さんは、障害のある子もない子も共に学び育つインクルーシブ教育の大切さを訴えた。

 続く講演では、県の事件検証委員会委員長を務めた東洋英和女学院大学の石渡和実教授が優生思想の克服に向けて「障害当事者の声を受け止め、地域に理解者を増やしていくことが大切」と強調した。

 この日は、事件発生日の7月26日を「やまゆりの日」とする宣言を採択。同連合会の市川高弘会長は「障害者支援のさらなる向上を確認する日にしたい」と話していた。

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