「思いやりの学校を」 横浜の園児が中学校で劇

 思いやりの輪広がれ−。横浜市戸塚区の市立秋葉中学校で21日、区内の秋葉保育園の園児24人が、「思いやりの山」の劇を披露した。市立秋葉小学校の校長が創作したこの物語をもとに、小学生が保育園に紙芝居を贈るなど、地域で交流が広がるきっかけになっている。

 物語は、多くの動物が住む山に意地悪なキツネがいたが、山火事が起きた際には自らが犠牲となり、他の動物を逃がしたというあらすじ。「思いやりのある学校づくり」を掲げる垣崎授二校長が作った。

 物語をもとにした紙芝居を5年生たちが秋葉保育園などに贈った。紙芝居への愛着が高まった園児から「劇にしたい」という声が上がり、この日に向けて稽古してきた。

 子どもたちはもともと交流が盛んで、5年生たちは近隣の幼稚園、保育園と交流。中学校の吹奏楽部の生徒は、園児向けにクリスマスコンサートを開いたばかりで、今回の劇はそのお礼でもある。動物を描いた飾りを頭に着けた園児たちはセリフをはっきり声に出し、堂々と演技。練習の成果を出し切り、みな満足そうな表情を見せた。

 全校生徒490人らが静かに聞き入り、かわいらしい演技に笑い声も。生徒会長の渡会遥香さん(14)は「心にしみた。いじめに対し、真剣に向き合うことの大切さを感じた」と感激した様子。一緒に鑑賞した秋葉小5年の金子拓海君(11)は「贈った紙芝居がこんな素晴らしい劇になり、うれしい」と喜んでいた。

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