しめ飾り、多様さ継承 保存会、民家園で30点製作

 古民家が立ち並ぶ川崎市立日本民家園(同市多摩区枡形)で25日、正月のしめ飾り作りが行われた。年の瀬を迎えた農村の伝統行事を民具製作技術保存会が再現。軒先でわらを編み、新年を彩る約30点の飾りを完成させた。

 千葉県九十九里地方から移築された網元・作田家住宅の軒先で、メンバー11人がむしろを敷いて作業。束ねたわらを木製の「横づち」で柔らかくし、曲線の美しい飾りを製作。これまでに作った神奈川、長野、宮崎など15種の飾りとともに、古民家に取り付けた。

 しめ飾りを作り続ける全国の古老を訪ね歩き、メンバー約100人で技術を蓄積する保存会。中島安啓会長(52)は「担い手は少なくなっているが、日本中の作り方を集積して若い人たちに継承し農村文化を残していきたい」と話す。

 学芸員の関悦子さんによると、保存会は民具研究者らと協力し縁起物や米俵などをモチーフにした数十種類のしめ飾りの資料や製作技術を継承。「これだけの種類を再現できる技術はほかにはなく、学術的にも意義がある」という。

 保存会は竹細工や機織りにも取り組む。問い合わせは、日本民家園電話044(922)2181。

 

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