銭湯カフェで地域に活力 横須賀

 横須賀市追浜東町の銭湯「ニュー松の湯」の空きスペースを活用し、薬膳を取り入れたメニューの提供や、商店街と協力して健康に関するイベントを開催するカフェがオープンした。多くの住民が集うコミュニケーションの場として、人と地域を元気にする拠点づくりを目指す。

 23日にオープンした「Kikuカフェ」は、銭湯を経営する山崎雅之さん(46)の妹、涼子さん(41)が発案。「いつかカフェを開きたい」と専門学校に通うなか、空き店舗を活用して未病の改善に取り組む商店街の拠点づくりに対して県が助成金を出す「未病を治す取り組み支援事業」を知った。

 もともと「健康オタク」を自任する涼子さん。かつて喫茶室として使われていた銭湯の空きスペースの利用を思いつき、周辺の店舗と協力して同支援事業に申請し、6月に採択された。

 料理メニューは、ショウガやシロキクラゲなど体を温める食材を使ったスープや、食物繊維が豊富な「小麦ふすま」の入ったパンなどが並ぶ。

 10月には開店に先立ち、「笑うことは健康」と称して寄席を開催。オープン記念ではヨガ講座や健康志向の料理教室を行った。今後も、地域の助産師や歯科医師を招いた相談会など多彩なイベントを計画している。

 生まれも育ちも横須賀。人口流出が深刻で、商店街でも閉店する店舗が増え続るのを見てきた。庶民の社交場として親しまれた銭湯も近年、全国的に姿を消しつつある。

 「お風呂もカフェもリラックスの場。年配の方も子育て世代の方も、誰でも気軽に集まってつながりをつくれて、健康になれる場にしたい」

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