古民家案内、4カ国語で 川崎、訪日客誘致に力

 2017年に開園50周年を迎える川崎市立日本民家園(同市多摩区枡形)が今春、4カ国語の音声ガイドを開始、外国人観光客の誘致に力を入れる。首都圏で日本の暮らしの歴史に触れられる施設と、海外の旅行ガイドに掲載され知名度が高まっている。半世紀を経て国際的観光施設としてアピールする。

 民家園は1967(昭和42)年4月、全国で消えつつある古民家を将来に残すため開園した。生田緑地の森に囲まれた約3万平方メートルの広大な敷地に古民家、水車小屋、農村歌舞伎の舞台など25件の貴重な建物が移築されている。

 森を散策しながら古民家を巡る野外博物館としてこの数年間、欧米やアジアからの観光客が増加し現在では年間5千人を超える。半世紀の節目を機に、スマートフォンを活用した英語、中国語、韓国語、日本語の音声ガイドを4月に導入、古民家の解説や園内の案内を行う予定だ。

 園長の小林正人さんは「実際に使用された古民家をこれだけ集めた施設は他にない。フランスの観光ガイドで(民家園が)三つ星と紹介されたことも影響している」と話す。

 富山県・五箇山地方にあった18世紀の合掌造りの江向家住宅など国指定重要文化財7件、県指定重要文化財10件のほか、道祖神や農具も展示、庶民の生活に触れられるのが特徴だ。

 暮らしの息吹を感じる博物館としても人気がある。園で活動する「炉端の会」「民具製作技術保存会」の約350人の登録ボランティアらが「おもてなしの心」で生活を再現する。

 千葉県の網元・作田家住宅では来園者を火の入った炉端に招く。70代の男性ボランティアは「日本の建築や暮らしを尊敬する気持ちがある人々を、自分の家のように迎え説明する。ようこそ日本へという気持ちを込めて語りたい」と話している。

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