人気カラオケ番組の上位常連者による歌唱集。時に機械による採点は批判もされるが、こうして満点近い演者を連続して聴くと、五輪競技の中継を見るようで面白い。
本編の10曲中8曲がカバー。奄美出身の城南海が『月のしずく』を歌うとより神がかるし、オペラ歌手の翠千賀が『ヘッドライト・テールライト』を歌うと、その流麗さに“ライト”が銀河を突き抜けるのを想起する。
他方、鈴木杏奈は中1にして、実に正確な音程や発声で『白いパラソル』を歌うが、“愛の予感”には、聖子のキャンディ・ボイスが欲しくなる(無論、アクの強い原曲の物真似にならない時点で、鈴木は相当の実力者だ)。
“高得点”と“プロ”の違いを感じるものはあるが、全体的に聴き心地が良く、豊潤な歌声は最高のお手本だ。また、松井五郎×馬飼野康二コンビによるオリジナルの2曲を複数で歌っているのを聴くと、好敵手にして仲間だと実感する。本作を聴けば、趣味レベルの何かでも極めたいと思うはず。
(ポニーキャニオン・3000円+税)=臼井孝