日立金属ネオマテリアル、高容量のリチウムイオン電池用クラッド集電箔を開発 高引張強度を実現、19年量産化へ

高容量リチウムイオン電池用クラッド集電箔

日立金属ネオマテリアル(本社・大阪府吹田市、社長・平野健治氏)は23日、高容量リチウムイオン電池用クラッド集電箔を開発したと発表した。公的研究機関や電池メーカーで良好な電気特性が確認されており、19年ごろの量産を予定している。集電箔には充放電時の体積変化に耐えられる高引張強度が求められており、銅箔より高い引張強度を持ち、ステンレス箔よりはるかに電気抵抗が小さい負極集電箔を開発した。製品サイズは最薄8ミクロン、最大幅380ミリ。

リチウムイオン電池は携帯機器、ハイブリッド車や電気自動車など幅広い分野で大きな成長が見込まれる。特に電気自動車分野では航続距離延長のため、一層の高容量化が求められている。

高容量化の手段として負極活物質に合金系材料を用いる方法があるが、合金系材料は充放電時の体積変化が大きく、充放電を繰り返すと集電箔に大きな力が加わる。このため集電箔が変形して活物質層にクラックが入り電池寿命が短くなる問題があり、集電箔の高強度化が開発課題となっている。

同社が開発した負極集電箔は、芯材を強度と圧延加工性にすぐれるニッケル―ニオブ合金(ニッケルに約5%のニオブを添加)とし、表層材に低電気抵抗の銅を用いる三層クラッド材。

開発品の特性

一般的に負極集電箔に用いられる電解銅箔や圧延銅箔に対して高い引張強度を持つことが最大の特徴で、高強度を優先した場合のステンレス箔に対しては電気抵抗がはるかに小さいのが強み。

同社は極薄金属箔など精密特殊金属材料でトップ級。電池用材料事業を成長軸に据え、21年度までに年間売上高360億円(14年度210億円)を目指している。

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